311
何だろう
今日も仕事とは関係無い友達と心底リラックスして楽しく飲んでいた
本当にその時間は真実、嬉しく幸福な時間だった
それなのに、飲み終わって一人になった瞬間に、今、身も心も荒れ果てる
飲んだ酒が連れと離れた瞬間、明らかに身体の、精神の、悪い部分に差し込んで行く
それでも、酒を飲んで無理矢理にでも酔っ払い、五感と体感を麻痺させて、自分を失神させなければ眠れない
恐らく、先月のあの時からだ
世の大罪を全て、手前が背負い込んでいる心持ちだ
全部を殴り殺し、叩き壊し、蹴り破りたいフラストレーションに苛まれて、己を止める術が全く見付からない
暴力的な本能に頭頂部から足の爪先までが支配されている
自分でどう対処すればいいのかも分からない程に混乱している
誰か、助けてくれ
いや、済まない
取り乱した
誰か、他人に助けを求めた所で所詮、嘲られ、裏切られこそするだけだな
結局は、自分で落とし所を見付けて解決するしか術は無い
もう、そんな事は嫌と言う程に分かっている筈なのに
他人に救いを求めようとする自分が浅ましい
憎い
やはり、死んでしまっていれば良かったのに、と、心から思う
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310
二日酔いで胃液を大量に吐いた直後のカレーうどんとオレンジソーダは、胃と頗る相性が悪いと云う事実を昨日の朝、嫌と言う程に思い知った
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307
世界を見渡せば、遠くも近くも自分を棚に上げた愚痴に満ちているね
「世の中が自分にとって上手く回らない」
「この仕事は自分に合ってない」
「頑張る事に疲れた」
「頑張る理由が見付からない」
「何で自分だけ」
「無理する必要も無い」等々
中には、そんな手前勝手な我儘を言い訳にして事件を起こしてしまう馬鹿も居る
でも、愚痴って云うのは、真剣にこの世の中と死ぬか生きるかって闘いをしてる人間だけに許される特権
上に並べた様な事を吐けるって事は、それだけまだまだ余裕が有るって事だ
僕は人に「頑張れ」と云う言葉を使うのが嫌い
人は見えない所で何かしら頑張ってる筈だから
だが、そんな事ばっかり言ってる者は絶対に人生を“頑張っていない”筈
「世の中が自分にとって上手く回らない」
じゃ、上手く回らせる事が出来る様に死に物狂え
「この仕事は自分に合ってない」
そんなんでは、どんな仕事だって続きゃしない
「頑張る事に疲れた」
だったら、現状に文句を言うな
「頑張る理由が見付からない」
生きてる意味が無いって事だ
「何で自分だけ」
貴方だけじゃない、貴方はそんなに選ばれた格別な存在じゃない
「無理する必要も無い」
貴方を本当に必要としてる人間が居ないって意味だ
分かるよ
ボヤきたくなる気持ちは良く分かる
愚痴や文句や弱音は誰にだって出る
しかし、それを打開しようとする意思を持たない人間は、その手の発言をしちゃいけない
いや、敢えて言わせて貰えば、この世界と闘い続ける
そして、自分自身と闘い続ける魂を持たない人間は、生きる事にすら値しない
此処まで読んで「そう宣うお前は何様だ」と不快に思う人も沢山居るだろう
確かに僕は人間としても職業人としても、まだまだ未熟
下の下だ
未だに半人前
それでも、断言する
生物は須く、この世界に生み捨てられた瞬間から、全て被害者で在り加害者だ
僕は、この僕を生み捨てた世界と、そして己自身と闘い続ける魂は失くしてはいない
その魂だけが自分を研ぎ澄ませ進化させて行くのだから
友人でも他人でも、僕を“強い”と評する人間が居る
「皆が皆、貴方の様に強い訳じゃありません」との言葉を残して僕の下を去った人間も居た
とんだ大間違いだ
僕は弱い
弱いからこそ今日の僕じゃ駄目だ
明日の僕は今日の僕より、少しだけでも研ぎ澄まされて進化していなければならない
その魂を失ったら、その時こそ自ら命を絶つだろう
最早、生きている価値は無いからね
さっきも書いた様に僕は未完成の人間
生存中に完成出来るなんて不可能だ
それでも、未熟なりに自分を追い込み、不器用に這い擦りながら階段を一段ずつでも上がって行く努力はしているつもりだ
後は何も無い
愚痴や文句や弱音も勿論、人生には必要な安楽椅子
だとしても、その安楽椅子に座る前に一度考えてみて欲しい
頭を回転させろ
身体を動かせ
仕事をしろ
そして、己を愛せる様になる努力をしろ
残念ながら僕は自分を愛せない
未だに何よりも自分を一番憎んでいる
だから「いつか、本当に自分を愛せる様になりたい」と、いつも自分と闘いながら藻掻いている
さて、貴方は自分と闘えているか
そして、自分を愛せているか
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305
今月は歌舞伎座での歌舞伎公演、通し狂言「菅原伝授手習鑑」の夜の部の武部源蔵を勤めている
俗に「寺子屋」と呼ばれている場だ
この「菅原伝授手習鑑」では今まで、この源蔵の他に舎人松王丸、舎人梅王丸を演じて来た
お客さんの印象ではきっと、僕は一番、梅王丸のイメージが強いと思う
今までに何回も演って来たからね
でも、僕がこの通し狂言の中で一番好きなのは、実は源蔵なのだ
一言で言えば辛抱立役
発散出来るシーンは「寺子屋」の中で一つも無い
その“源蔵の孤独、苦悩、悲しみ、愛情が深ければ深い程に「寺子屋」と云う殺伐とした芝居が深みを帯びる”のだ
今回、改めて稽古を付けて貰った松本幸四郎の叔父さんにも、そう助言を頂いた
毎日、勤めていて本当に精神に来る役だ
胃がキリキリする
過呼吸になりそうな位だ
だが、僕はそれがいい
今月は「寺子屋」が終わるまで、食事をしない
とは言っても、此処数年は一日一食生活だから、然程の苦痛ではないが
水分も最低限度以上、あまり終演までは取る気にならない
身体を干して、神経を鋭角的に研ぎ澄ます
水滴が石を穿つ様に
そうしないと、この源蔵と云う役は練り上げられない
それでも、僕の源蔵はまだ、我慢が足りないと感じている
もっと、もっと、耐えられる筈
そうして自分を追い込んで行かないと、舞台の上で如何に他人の息子とは云え、初対面の子供の首を斬る事等、思い付く事も、出来る訳も無い
そして、自分が“ベストではないが、現時点でベターなチョイスはこれしか無い”と、腹を括った選択肢すら、松王丸の計算の内
掌の上で踊らされていた事実
“本当に最上の選択肢はそれしか無かったのか”
源蔵は幕が閉まった後もきっと、自分が死ぬ最後の瞬間まで、人間として、男として、夫として、してはならぬチョイスをしてしまった事を悩み、自己嫌悪する事だろう
如何に主君の為であったとしてもだ
忠義と人間性を秤に掛けて、狭間で忠義を選び、情を捨ててしまった緊張の糸
しかし、それでも情を捨て切れないジレンマ
“運命”、“宿命”等と云う言葉は陳腐で嫌いだけども、源蔵の“運命”であり“宿命”なのだろう
僕が彼に惚れるのは、彼の人生に、実に人間らしい“敗者の美学”を感じるからだ
菅丞相、藤原時平、松王丸、梅王丸、舎人桜丸と、「マーヴェル」シリーズ宜しく異能のスーパーヒーロー達が八面六臂で跋扈する物語の中で、彼だけが“ただの人間”として現状に藻掻き、足掻き、抗う
亡き父の源蔵も素晴らしかった
今回は父の源蔵をベースに、さっきも書いた様に高麗屋の叔父さんに稽古をして頂き、肉付けをして行っている
今日も歌舞伎座に見に来て、色々とアドヴァイスを下さった
有難く嬉しい事だ
尾上扇緑、尾上辰緑の二人の門弟からも先々代、先代の演り方をもう一度、確認した
まだ、中日前、日は有る
今後も千穐楽まで日々、源蔵と同じ様に、僕も悩みながら、少しずつでも進化出来る様に試行錯誤、工夫して行く
先々代、先代の贔屓の中、また、僕を嫌い、蛇蝎の如くに憎んでいるいずれも様には「お前の源蔵なんか観たくもない」と仰っしゃる方々が多々居られよう
その人々には大変に申し訳無いが、僕も源蔵を演じる役者の片隅に存在する事に目を瞑って頂ける様、地面に頭を擦り付けて、伏して乞い願い奉る次第だ
行く行くは通し狂言「菅原伝授手習鑑」、昼の部
即ち「筆法伝授」の場の源蔵もチャンスに恵まれる時が有るのならば、演じてみたいと思っている
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300
只今、大阪の馴染みのバーにて、坂東亀寿さん、中村壱太郎さん、坂東新悟さん、市川弘太郎さん、芳村辰三郎さんと共に、中村種之助さんのちょっと早い誕生日パーティーを開催中
本当の誕生日は今月の二十二日、次の日曜日なんだけどね
二月二十二日に二十二歳
いや、縁起がいいね
種之助さん、HappyBirthday
御目出度う
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299
そこに中村種之助さんが加わって、男三人で飲む楽しさ、ね
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298
そうか、チョコレートやら何やらを送り届けて頂いて気が付いた
今日は、St.ValentineDayとか云う奴なのね
プレゼントを下さった皆さん、どうも有難う
そんな、男女がイチャイチャするべき日に、僕は坂東亀寿さんと二人焼肉
流行りや風習に流されずに黙々とタン塩に食い付き、酒を流し込む僕等、野郎二人
嗚呼、何て色気が無い姿か
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295
沙藤一樹さんと云う作家を御存知だろうか
僕の大好きな小説家の一人だ
とは言え、寡作なので、大好きと言っている僕でも彼の作品は五作しか読んだ事が無い
「D-ブリッジ・テープ」、「プルトニウムと半月」、「X雨」の三作は高校を退学してしばらくした辺りの時期に初めて出逢ったのか
当時、少しだけ心に靄が掛かっていた僕は、彼の作風に自分自身を投影して、貪る様に読んだ記憶が有る
殊に「D-ブリッジ・テープ」
これには、病的な位に感情移入し、のめり込んだ
嫌と言う程に叩きのめされ、部外者からは冷やかに全く理解されない、まるで打ち捨てられる聖人の様な主人公の“俺”、“ネン”
彼の怒りや憤り、悲しみ、願いに胸が打たれたよ
報われない無駄死にと云う劇的なカタルシス
あんな死に方、理想だね
恐らくは発売されてから二十年近くは経っている筈なのに、未だに瑞々しく色褪せていない
墓の中にまで持って行きたい
いや、火葬の時には棺の中に入れて、自らと一緒に燃やして貰いたいとすら思う本の一つ
興味が有ったら是非、手に取って読んでみて頂きたい
短いから直ぐに読み終えられるだろう
ただし、僕は好きだけれど、読後感が決して良くない事は先にお断りしておく
本好きの坂東亀寿さんや、他の数人の友人にも貸してみたのだが、大概は共感して貰えずに芳しくない感想が帰って来る
あれを貸した中で「いい作品」と言ってくれたのはイノセントスフィアの主宰、西森英行さん位だったんじゃないかな
でも、皆の意見は揃いも揃って「貴方が好きなのは良く分かるよ」との言葉が帰って来るね
他には「不思議じゃない国のアリス」、「新宿ミルク工場」
日記の最初にも書いた通り、彼の作品はその五作しか読めていない
それとも、作家名を変えて、他の名前で書いてたりしてるのかな
もし、他に書かれている作品が存在するのならば、その題名を教えて頂ければ幸いだ
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292
今年最初の歌舞伎の興行
国立劇場大劇場に於ける「南総里見八犬伝」が無事に千穐楽を迎えた
いや、まさに今日、立廻りで右足親指の爪が剥がれたから、「無事」と云う言葉は間違いだな
でも、他には最後まで問題無く幕を閉める事が出来たよ
この作品は歌舞伎では縁が無くとも、小説や漫画、映画、TV、アニメ、ゲーム等で知っている人達も多いと思う
僕は八犬士の一人、犬飼現八信道と悪役、網干左母二郎の二役を演じていた
さて、現八と言えば滸我の城の大屋根、芳流閣の上で犬塚信乃戌孝と大激闘を繰り広げたり、犬村大角礼儀と共に化猫を退治したりする捕物柔、拳法の達人である訳だが、此処は一度、その話は置いておく
時に、皆さんは狆と云う犬を御存知だろうか
そう、あの、何処を見ているのか焦点が合っているのかいないのか分からず、口を半開きにして舌を出している、ちょっと阿呆面なイメージが強い犬だ
先日、或る人から「貴方は犬で言うならば狆に似ている」との御言葉を頂いた
うん、僕を犬に例えるとすれば、決して鼻の長い美形の種類ではないだろうから、そう言われたのは不本意どころか自分でも深々と納得する次第ではある
特に狆は、遥か昔は中国の時の皇帝が好んで飼い、我が国では花魁が愛玩していたとの絵も残っており、今や、高級御座敷犬って感じのレアなイメージだし、不細工ながらも何処かに愛敬と可愛い気が有るので、狆側からしてみると同類にされるのは納得が行かないかも知れないが、実は僕サイドとしては正直言って満更悪い気はしなかった
従って、今月の興行を観て下さった方々の中には「現八のイメージは狆か」と思われた方も少なくはなかろう
犬繋がりの話だと昔、高橋よしひろさんの漫画で「銀牙〜流れ星銀〜」と云うのが有った
その中で僕が一番好きだった犬は鹿児島のボクサー、ベム
彼一択だったね
ちなみに今は、この四月に香川の金丸座で催される金比羅歌舞伎の製作発表の記者会見を済ませ、明日から始まる松竹座での来月の歌舞伎公演、四代目中村鴈治郎襲名披露興行の稽古の為に新幹線で大阪に移動中
今日は此処まで何も食べてないからな
向こうでホテルに着いて荷物を解いたら、誰か誘って飲みつつ軽くつまみに十三辺りにでも繰り出すかね
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290
昨日は国立劇場大劇場での初春歌舞伎公演終了後に第十五回伝統歌舞伎保存会研修発表会の「曽我綉侠御所染」の稽古に立ち合い、それが終わってから、坂東亀寿さん夫婦と合流して東池袋のシアターグリーンBigTreeTheaterにて上演されている、劇団イノセントスフィアの「刻印」と云う芝居を観て来た
「刻(キザム)」と「印(シルシ)」の二編から構成された作品
話の種は明かさないが、両編共に実際に起こった事件や出来事に着想を得て創作されたフィクション
特に、現代の日本で非常に問題として取り上げられているナイーヴな事案を、劇団の主宰であり僕の生涯の友の一人、西森秀行さんが恐れる事無く客観的且つ公平に練り上げていた
「刻」では、狩野和馬さん、遊佐邦博さん、「印」では黒川深雪さん、三浦知之さん、八敷勝さんと云う旧友は勿論の事、他の出演者、客演の俳優さん達がまさに、命を削って素晴らしい舞台を成立させていた
狩野さんはいつもと同じ、それ以上の独特な存在感と凄みを放っていて、相変わらずの狩野イズム
また、黒川さんも今までに無い役に挑戦されて、そのパワーに目が放せなかった
特に、この二人の引力には今回も圧倒されっ放しの二時間強
泥臭いながらもハイセンス
魂に響いた
そして、衝撃と感動に心が震えたよ
いつも思い、言っている事だけれど、演劇、映画、音楽、書物、何に限らず、いい作品に触れると、自分のエネルギーを物凄く触発される
公演の後、あまりに胸が一杯になり過ぎて、我が友人達とは敢えて顔を合わせる事無く亀寿さん夫婦と共に劇場を後にしたが、近々の再会を約している
その時に色々と語り合うのが今から楽しみだ
獲物を狙う獅子の眼と飢えた狼の魂を持つ演劇集団、きっと、今日も激烈に闘った事だろう
もし、時間と懐に余裕が有ったら、東京では明後日の十八日まで、その後は来週の二十四日、二十五日に広島のアステールプラザ多目的Studioで公演しているので是非
いや、時間と懐に余裕が無かったとしてもこれは、そして、この劇団の作品は全て、価値が、必要が有るので、観て欲しい
観るべきだ、とまで言い切れる
さて、話は変わるが、今日の僕の方の歌舞伎公演「南総里見八犬伝」は夜の部の公演
未成年だった頃からの友人、女優で声優でもある葛城七穂さんが、彼女の声優の先輩、篠原恵美さんと一緒に観に来て、楽屋を訪ねてくれた
篠原さんと言えば僕の中で非常にイメージが強いのが「美少女戦士セーラームーン」の木野まこと役
当時、リアルタイムで観ていてセーラージュピター贔屓だった、ポニーテールが今も昔も大好物な僕が非常にテンションが上がったのは言うまでもないが、内緒の話
とても、おしとやかで素敵なお姉さんであった
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