尾上松緑、藤間勘右衞門の日記

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2019.01.19 Saturday

722

いけない

風邪が振り返したみたいだ

昨日の夜から鼻の奥と喉が乾燥して痛かったんだけど、段々と増して来てしまった

血痰が出始めて、昨晩はあんまり良く眠れなかった気がする

熱は無いんだけれどね

今日は通常の公演の後に、第二十三回伝統歌舞伎保存会の研修公演当日で、後輩達が奮闘しようと云うのに

僕も弱音なんて吐いちゃいられないよな

身体の節々が痛かったり、怠かったりは無いから、インフルエンザやノロウィルスではないと思う

ただの風邪である事を願いたいね

正直、今の時期に風邪を引いたり、長引かせたくはなかったんだけれどな

兎に角、行かなくては


09:06 | - | - | - |
2019.01.11 Friday

721

皆、一度は考えた事が無くは無いと思うんだけれど

出来る筈は無いのは分かっていながら「自分の人生、もう一度、一から始め直したい」とか「あの時点からもう一度、やり直したい」とか、頭を過った事は無いかな
俗に“強くてニューゲーム”と呼ばれる奴
僕も、若い頃はそう考える事が有った
でも、年を食ってからは、いつの間にか意識をしなくなっていた
昨晩、ベッドの中でふと「いつからだろうか、何故だろうか」と耽ってみた
明確な結論が出た訳では無い
しかし、「恐らくは」と、思い当たる推測は有った
確かに、生きていれば嫌な事は多い
いや、「嫌な事が殆どだ」と、言っても過言ではない
それでも、今、僕の人生で手に入れた、数少ない、手放したくない事象、人々、その人々との関係性や、その人々との情等
これまで僕の歩んで来た人生
一挙手一投足違っても、一分一秒ずれても
今、僕が「有難い」、「嬉しい」、「安らげる」と、思う状況にはなっていない筈だ
“強くてニューゲーム”をやり直したとしてもだ
例えば“あの時に学校を辞めていなかった”ら、今の娘や息子が生まれて来なかったのかも知れない
「僕の子供逹が、今の娘や息子でなかったら」等とは断じて考えられない
第一、あの娘、あの息子だから、我が子として愛せるのだ
他の子供だったとしたら“我が子”と、愛せる訳が無い
また、“あの時、鎖骨を折っていなかった”ら、ひょっとしたら、今、親友と思えている奴等と、今の様な関係にはなれていなかったかも知れない
“バタフライ・エフェクト”や“シュレディンガーの猫”同様に、何処かに少しずつの因果律が働いて、今の自分の人生が形成されているのだろう

全ての偶然の、数え切れない無数の点の集合が線になって、今、必然となって事実として存在しているのではないか
そりゃ、勿論、祖父の死、父の早逝、叔母夫婦(父の姉とその夫)の執拗な攻撃滲みた行為、学生時代のアウトカーストとかの様に、書き換え、塗り替えたい過去や、消し去りたい事柄、憎しんでも憎しみ足りない者逹が積もる程に多い事には変わりない
それでも、そんな事以上に密度の濃い、数少ない大切な人々と巡り逢った
それが有るだけで、如何に自分自身は糞っ垂れながらくたでも
この、自分の人生だけは「決して捨てた物ではない」
「“強くてニューゲーム”でプレイし直したい」とは、思わなくなった
「呪いは掛かっている、掛けられている意識をしないに限る」
「緊急検証シリーズ」の何作目かで大槻ケンヂさんが言っていた
いい事を言うよな
高畑充希さんは「疑うよりも、信じている方が幸福」、と言ったとか
確かにな
人生も既に半分以上を折り返した今、そんな風に考えると、心が軽くなる
1舒未麓分を許してやってもいい気になる
少なくとも、今後もそう云った類いの後悔だけはしないで生きて行きたい

断言出来る
最低限度、僕は甘えては生きて来なかった
甘っ垂れていては生きては来られなかったからだ

或る時期から、我儘は言って来なかった

先ず、我儘は言った所で通らない、言ったら生きて行かれない所で生きて来た
或る程度は、律しては生きて来たつもりだ
追い詰めて生きて来たつもりだ
ほんの少し
少しだけは、今の自分が生きている、積み重ねて来た現実を肯定してやりたい


01:08 | - | - | - |
2018.12.31 Monday

718

ちょっと、疑問に思っている事なんだけど
タッチペンって有るよね
あれ、使い難くないか
僕もタブレットを使う時、一瞬、使っていたのだけれど
結局、指の方が感度がいいし、今ではタッチペンは使わなくなってしまった
「指よりタッチペンの方が扱い易い」って、使っている人って居るのかな
僕の周りにはあまり、居ない様な気がするけど
何となく気になった今年最後の疑問
では、良い年越しを


14:33 | - | - | - |
2018.12.26 Wednesday

717

九月は中村児太郎さん
十月は名古屋で市村橘太郎さん
そして、今月は中村壱太郎さんと
今年の下半期は随分と色々な人を舞台の上で踏ん付けた人生だった
他人を踏み潰してでも押し退ける欲張りな性格には、どうしてもなれない僕としては、芝居での役柄の上とは云え、これだけ短期間に重なると云う事は珍しかったな
さて、今日は今年、最後の舞台だ
とは言っても、明日からは来年、一月の国立劇場大劇場での初春歌舞伎公演の稽古だけれどね


06:02 | - | - | - |
2018.12.24 Monday

715

クリスマス・イヴに、ちょっと、感傷的になってしまった
来年の二月に歌舞伎座で昼夜一本ずつ、父の三十三回忌追善狂言を出させて貰うのだが
その月の劇場のイヤフォンガイドの企画で、僕が二代目尾上左近を襲名した時に、祖父と父と三人で受けたインタヴューの一部分を流そうと云う話になって
どの部分を流すかを聞いていたのだ
インタヴュー自体、四十年近くも昔の話だし、僕は全く覚えていなかったのだけれど
芝居の台詞等では記録で、祖父、父の声は良く聞いている物の
普段、喋っているあの二人の声は、本当に久し振りに聞いた
懐かしかったな
そして、その温かい内容に、僕は「本当に祖父と父に愛されていたんだな」と、改めて有難く心に沁みた
と、同時にまた改めて、役立たずでがらくたの自分がのうのうと生きている事を本当に申し訳無くも思った

生きているべき、生きていなきゃいけない人間が死んで、死んでも構わない、死んだ方がいい、死んだ方が喜ばれる憎まれ者が生きているなんて

何と云う不条理か

今からでも、自分が死んで代われる物なら代わりたいと、また、いつもの如く思っている

出来る事なら、娘に、そして息子に

祖父や父を逢わせてやりたかった

仕事の事ばかりではなく、プライヴェートの意味でも

僕なんかじゃなくてね
来年の二月に、歌舞伎座に父を偲びに来て下さるつもりが有る方は、是非、そのイヤフォンガイドで、祖父と父の声を聞いて欲しいと思う


11:08 | - | - | - |
2018.12.17 Monday

714

今月は歌舞伎座の十二月大歌舞伎、昼の部の「於染久松色読販」にては、中村鶴松さんと共演している
ちょっと、舞台上で擦れ違う位は有ったけれど、ちゃんと鶴松さんと一緒に芝居をするのは
何と、恐らく十六年振り
何故、はっきりと覚えているかと云うと
彼は、僕が四代目尾上松緑を襲名した、その年の大阪での襲名披露公演の「倭仮名在原系図」にて、僕が勤めていた奴蘭平実は伴義雄の息子
蘭平一子繁蔵を演ってくれていたのだ
まだ、その時は亡くなった中村勘三郎兄さんの門下に入る前で、本名で出ていたんだよな
懐かしい
今月の鳥屋口でも、彼とそんな話やらをしている
あんなに立派に頼もしくなって
中村屋の兄さんの薫陶の賜物だね
一回でも父親役をした者の親心としては、嬉しい限りだ

次回は近い内に、生きている鶴松さんと共演したいね
僕の蘭平で繁蔵を演ってくれた子役達は坂東巳之助さん、尾上右近さん、上村吉太朗さん
そして、上に書いた鶴松さんと
皆、立派な役者になっている
近々の二回は我が息子が演っている訳で
その、ちょっと年上の先輩たちに少しでも近付ける様に、自ら精進して欲しいと願っている
僕がまだ、動ける内に
いつ、居なくなっても大丈夫な様に


23:22 | - | - | - |
2018.12.14 Friday

713

今月は歌舞伎座での十二月大歌舞伎、夜の部の「檀浦兜軍記」と云う芝居で、岩永左衛門宗連と云う役も演っているのだが

今日、市川段之さんに「岩永、面白い」と、誉めて貰えた

人形振りで台詞も義太夫に全て語って貰う、特殊な役だけに、色々と工夫は要るのだけれど

今回はまさに、段之さんの師匠である市川段四郎の兄さんの演じた岩永をベースにさせて頂き、その上で、一緒に舞台に出ている、やはり、岩永経験者である坂東彦三郎さんに細かい事を稽古して貰ったのだ

だから、段之さんにそう言って貰えて、とても嬉しかった

坂東玉三郎の兄さんとのダブルキャストとは云え、まだ約半分の日数が残っているからね

玉三郎の兄さんにも助言を貰いながら、千穐楽まで勤めたいと思う

そして、近頃は御目に掛かっていないけれど、段四郎の兄さんの快癒も、心から願っている

しかし、話は変わるが

あの様に彦三郎さんと僕が一緒に並んでいると、我ながらいいコンビだと思うよ

お互いがお互いに柄に合った役だと思うし

二人で相談しながら、楽しんで芝居をしているよ


15:01 | - | - | - |
2018.12.13 Thursday

712

昨晩、急に家の三匹目の犬、まる子が震え出して、吐いてしまって緊急入院

腸に何かが詰まっていて、このまま放っておくと、腹膜炎とかになってしまう可能性が有るとかで、今朝、手術する事が決まってしまった

逆に考えれば、手術が決まったから、もう、今以上に悪くなる訳では無いし、確実に良くはなるであろうから、死ぬ事は無いと思うけど

それでも、凄く心配

恐らくは、飼い主が気付かぬ間に、何かを誤飲してしまったのだろうな

責任を感じてしまう

つい、この間、避妊の手術をしたばかりなのに

一年の内に二度も身体にメスを入れる事になろうとは

何と、可哀想な

僕が楽屋入りした後の正午過ぎから手術だって

何も、飼い主と同じ様な症状になる事は無いのに

出来る事なら代わってあげたい

何だか、落ち込んでしまうよ


09:54 | - | - | - |
2018.12.11 Tuesday

711

今日の歌舞伎座の昼の部

三階席に学生さんの或る程度、纏まった団体が入る予定なんだけれど

昨日の事

遥か昔、二十年以上前に彼女だった女性からメールが来て「明日、娘が学校の行事で歌舞伎座に観に行くよ」と

いや、時が経つのは早い物だな

抱っこした赤ちゃんがもう、高校三年生になって

しかも、偶然にも歌舞伎を観に来る事になろうとはね

当たり前だが、計算上、僕の娘である事は有り得ないのだが

何だか、不思議な気分

勿論、父親ではないのだけれど、勝手にそれに近い心持ちになるよ

いい所を観せたい、等と欲張ってしまうね


08:24 | - | - | - |
2018.12.08 Saturday

710

金属バット
つい最近に知ったのだけれど、実に面白いコンビだね
僕の中ではあの二人の際々を渡るスリリングな笑いは、今、尖り方では天竺鼠と双璧かも知れない
後は芸風は全く違う、柔らかく安心して笑える四千頭身
まんじゅう大帝国、期待大

コマンダンテの安定感ね、安定感は大事だよな
霜降り明星はまさに乗っている感が有る
そして、相も変わらず、さらば青春の光、麒麟、タイムマシーン3号、ダイアン、プラス・マイナスは間違い無く鉄板
和牛は最早、仕事人
かまいたち、ギャロップ、アインシュタイン、巧いと思う
見取り図、ゆにばーす、トット、ハライチ、いいね
品川庄司の二人は器用と懐の広い受け手、やっぱり、漫才している時が一番、輝いて映る
千鳥、おぎやはぎ、銀シャリ、とろサーモンの漫才はもっと、観る機会を作りたい

贔屓の笑撃戦隊を観る事が少ないのは寂しいな

これも生で観に行かなきゃ駄目だな
言うまでも無く、サンドウィッチマン、博多華丸・大吉、矢野・兵動、テンダラー辺りはレジェンド級
コント師では、ハナコ、ネルソンズにジェラードンと、3ピースのユニットに目を奪われた
行く行くは東京03の域を脅かす様になると僕的には盛り上がる
アルコ&ピースとアキナの両コンビもコント師と云う印象なんだよな
パーパーも何だか一言では語れない魅力が有るし

やさしいズのコントは愛が有る
ロビンフットもいい味

バイきんぐはまた別格

ピン芸人では紺野ぶるまさん、河邑ミクさんのが楽しかった
ナオユキさん、また、生で観たい
好きな芸人を挙げて行けば切りが無い

年末は特にお笑いのネタを観せてくれる番組が多くて嬉しい
舞台を主戦場にして、芸で勝負しているお笑いは、干上がって腐った心を笑いで潤して幸福にしてくれる


03:08 | - | - | - |

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