280
部屋の模様替えって何だかウキウキとテンションが上がる
自分の部屋をリフォーム、模様替えして約三ヶ月
やっと、和室に慣れて来てゆっくり眠れる様になった気がする
思えば、東京以外の仕事や公演、旅行等のホテルとか旅館は別にして、これまでは自分で持った部屋と云うのがずっと洋室でベッドかソファーベッドだったから、人生初の和室と敷き布団生活に突入した訳だ
でも、部屋の広さは以前と比べて四割程度とかなり狭くなったけど、部屋の中央に座ったままで何でも手が届く様になった分、今までよりも遥かにコンパクトで過ごし易くなった気がして快適至極
部屋って無駄に広いのがいいと云うだけではないのだな
ちょっと前の話、中村松江さんや坂東亀寿さん達に新しい部屋を披露して、あまりの整頓に感心された
我ながらも「自分は収納の神ではないか」と自画自賛してしまう程の几帳面な整理っ振りだ
DVD、CD、本、洋服等はかなり断捨離しなきゃならなかったけど、本は必要な物はKindle三台分に入れ直したし、音響機器は高性能で小型化した商品に買い直した
他の物も精鋭だけを選りすぐって残して、後は人にあげたり、中古屋に売ったりしたから後始末も上々
これでまた、生活に新しい張りが出来て、改めて来年からも気持ち良く楽しく仕事にも臨めそうな予感
それが当たって続くといいな
さて、今日はこれから、公益社団法人日本舞踊協会の今年最後の定例理事会だ
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277
今朝、僕は長崎に着いた
此処には仕事を含めて数え切れない程に来ているが、今回は仕事ではない
完全にプライヴェート
長崎は好きだ
都会と田舎、和と西洋、現在と江戸時代、幕末、伝統、出島、隠れ切支丹、港町、造船所、工業地帯、原爆と云った色々な栄光と迫害、弾圧の魂を爛れたケロイドの様に背負い、混じり合ったカオスな空気が僕を惹き付ける
特に以前から予々、時間が出来たら是非訪れてみたいと思っていた軍艦島に上陸する為の一人旅
念願叶って先程、軍艦島へのツアーを終えて来た所
空港に着いた途端にパラ付いた雨模様や、熊本は阿蘇山の噴火とかが出港に影響が出るかと心配したが、無事に接岸、回る事が出来て先ずは一安心
クルーズには大勢の人が参加していたが、団体やカップル等が殆ど
一人で参加した物好きはひょっとしたら僕一人だったかも知れない
悴む位に身を斬る船上の風の寒さ、うねる波飛沫、潮の匂い、船の揺れまでも心地いい
長崎港から高島の石炭資料館、そして、いよいよ軍艦島
一昨日、昨日は波が高くて上陸出来なかったらしい
今日で幸運だった
想像していたよりも小振りでびっくりした
あそこが当時は東京よりも人口密度が遥かに高かったとは
想像を絶する物凄い機能美だったのだな
案内役の係員さんの解説にも熱が入っていて、聞く側のこちらも気合いが入った
正と負、生と死、活気と怨念、妄執と諦念、両方の相反するエネルギーが未だに島をまるごと取り囲んでいて、島自体に取り憑かれそうな心持ちだった
それもまた快く感じるのがあの島の魔力か
男のロマンと悲哀が詰まりに詰まった場所だった
一回じゃ惜しい
明日にでもまた、もう行きたい位の気分だ
想像していた以上、遥かに素晴らしく、死ぬならこう云う場所で死にたいね
うん、来た甲斐が有った
心と脳髄にしっかりと刻み込んだ
さて、これから、繁華街の思案橋に出て飲み、朝になったら五島列島を巡ってから電車で福岡は博多に出て飲んで一泊と云うのが取り敢えずは明日、明後日の朝までのざっくりとした予定
もうちょっと休み期間の猶予は有るし、宿も特段取ってる訳では無いから、居所定めず数日掛けてブラブラと北上、途中で京都、南座の歌舞伎公演、顔見世興行に挨拶に伺ったり、先々月に世話になった名古屋の店に顔出したりしつつ、最終的には北海道のすすきので飲んで帰って来れればベストだな
出来れば高松、広島、米子、竹涛、善光寺、仙台、青森辺りの何処かにも寄れると嬉しいんだが、全部は流石に無理
取り敢えず、候補には入れておこう
兎にも角にも途中、泥酔して衝動的に何処かの海や川に飛び込んだり、雪山や道端で眠り込んだりしない様に気を付けつつ、一人旅を満喫したいと思う
こう云う、孤独を育てて飼い慣らして行く作業も案外、性に合っている
汚れ切ってる命、心、身体の洗濯
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276
本日、国立劇場小劇場に於いて催された勘左の会
長唄「棒しばり」は次郎冠者を恙無く勤め終える事が出来た
前にも書いたが、この「棒しばり」は先月の名古屋での歌舞伎公演でも踊っていた作品
でも、歌舞伎役者を相手に約一ヶ月間続く歌舞伎公演と、舞踊家と演る一発勝負に近い舞踊会とはまた、全く趣が違って別の緊張感が有る
今日は、土曜日じゃなく日曜日だったので、幕切れ近くに投げた扇子も問題無くキャッチ出来たし、自分の守備範囲分は今年最後の舞台としては、まだまだ課題は有れども或る程度の納得は出来た次郎冠者だった
小劇場とは云え、お客さんも立ち観が出る程の大入りだったので、本当に良かったよ
娘と息子も観に来ていたから尚更、平常心を心掛けながらも気合いが入ったのは事実だったね
そして、この会にゲスト出演して下さった林与一さんにもお目に掛からせて頂き、御挨拶をした
僕はてっきり初対面だとばかり思っていたら、与一さんが「貴方が赤ちゃんの時に逢った事が有る」と言って下さった
とても温かく素敵な人柄の先輩だった
そして、映像では勿論知っていたが、生で御尊顔を拝するとより一層、実に惚れ惚れするいい男、素敵なダンディ
清元「神田祭」の鳶頭、格好良かったな
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274
今日、娘と息子にジバニャンのプラモデルを買ってプレゼントした
大層、喜んでくれたので、その笑顔を見られただけでも甲斐が有った
だが、あの子達はそのジバニャンなる奴が猫の地縛霊であり、その地縛霊と云う物がどの様な存在であるのかを理解はしているのだろうか
その一部分だけが、甚だ謎だ
いや、もう一つ
あの子達がちゃんとあのプラモデルを完成させられるのかどうか
アニメや漫画通りの可愛いジバニャンに仕上げられるのかどうか
それもまた気掛かりだ
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丁度、一週間後の日曜日
国立劇場小劇場に於いて催される勘左の会で、長唄「棒しばり」を演じる
会主の藤間勘左さんは祖父の次男で父の弟
つまりは、僕の叔父に当たる舞踊家である
配役は勘左さんの太郎冠者、藤間豊之助先生の大名某、僕が次郎冠者
何故、先月に名古屋の歌舞伎興行で勤めたばかりの「棒しばり」と云う演目にしたのか、訝しく疑問に思う人も多かろう
これは、僕が別に「他の演目を浚い直すのが面倒臭い」とか「新たな踊りを覚えるのが億劫だ」等と云う在るまじきさもしい心根から発した事情では全く無く、少々深い話が有るので読んで貰いたい
勘左さんが若かりし頃、今回が第六回目なのだが、記念すべき第一回目、初めての勘左の会で演じられたのが「棒しばり」の次郎冠者
その時に、まだ生きていた父が太郎冠者を勤めていたのだ
だから今回、一緒に踊る事が決まった時に「父とも演っている作品だし、久々の勘左さんの次郎冠者に、僕の太郎冠者で出してみるのは如何だろうか」と提案した
ところが、勘左さんはちょっと前に持病の腰の手術をしたばかり、「棒に両手を縛られる負担には自信が持てない」と言う
しかし、僕の提案の“一緒に「棒しばり」”には乗り気になってくれた
そう云う訳で大事を取り配役を入れ替えて、勘左さんが後ろ手に、僕が約一ヶ月振りに棒に括られる事になった次第
今年は十数年振りに十二月の歌舞伎興行に出演していないので、十二月に他の仕事や稽古が色々有るにしても、お客さんの前で演じるのはその十一月三十日の「棒しばり」が年最後
時間と懐に余裕が有ったら是非、観に来て頂ければ幸いだ
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今日は芝居終了後に一人飲みな気分
先ずは復活した神田の藪に行って来た
予想通り、大変な行列だったが、僕は一人だった所をカウンターが偶然に一席だけ空いたので、幸運にもあまり待たずに入る事が出来た
以前のお店の風情を残しつつ、新しく綺麗になった内装に感慨
何たって、幼い頃から祖父や父母に連れて来て貰ってた、懐かしき我が思い出のお店の一つだからね
個人的にはレジの雰囲気が以前と変わってなかったのが何だか嬉しかった
女将さんや番頭さん、昔からのスタッフのお姉さん達も僕の顔を覚えててくれて、声を掛けてくれたのには驚いた
そして、柄にも無くグッと来ちゃったね
特製のねりみそとかまぼこ、そばずし、それからお目当てのせいろうそばでしっかり飲んだ
そこには昔、蕎麦を食べ始めた頃から変わらない、シンプルで、だからこそ瑞々しくて美味い、口に慣れてる味が在った
でも、写メを撮ってアップする様な品の無い不粋な事はしないよ
フードポルノなんて下卑た行儀悪い真似は大っ嫌いだからね
美味い物は「美味い」
その一言以外に言葉は浮かばない
どんなに飾り立てた言葉も、本当に美味い本物の前では、それの価値を落とす陳腐な雑音でしかない
うん、幸福で素敵な一時を堪能したな
尾上松緑家代々の責務として近々、娘と息子は神田の藪に連れて行かねば、あの子等の曾祖父、祖父にまた顔向けが出来ない事が一つ増えてしまうな
さて、機嫌が直ってテンションも上がって来た所で、今はタクシーに乗ってTSUTAYAに借りてたCDを返しながら、馴染みの西麻布の日本酒バーに向かっている所
此処もまたつまみがどれも絶品なんだよ
土曜日に寄った時に「月曜日はあらしさんの為にカワハギを仕入れときますよ」とか言われちゃったからな
顔出して、カワハギの刺身をつまみに日本酒を煽らにゃなるまい
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昨日、歌舞伎座に於いての十一月の歌舞伎公演が初日を迎えた
今月は初世松本白鸚の叔父さんの追善の興行である
僕は義太夫「寿式三番叟」の三番叟、「一谷嫩軍記」の堤軍次、「御存鈴ヶ森」の幡随院長兵衛の三役を演じている
三番叟は去年の九月末に素踊りで藤間勘十郎さんと踊った役
今回は勿論、衣裳付けで市川染五郎さんと踊る
市川團蔵さんが舞台稽古で言ってくれて、僕も全くそう思うのだが、長唄「舌出し三番叟」等とはまた違い格調が要る踊りなので、派手な振りだからと云ってあまりバタバタと飛んだり跳ねたりはしゃいだりせずに、余裕を持って冷静に自分自身も楽しむつもりで挑みたい
翁の片岡我當の小父さん、千歳で坂東亀寿さん、中村歌昇さん、中村米吉さんも登場する豪華ヴァージョンの奴だ
そう言えば歌昇さん、知っていたけれども遅ればせながら御婚約御目出度う
先に結婚と云う物を体験した先輩として、家庭を巧く回して行くコツは、「ひたすらの我慢」、そして、「主導権を絶対に相手に渡さずに手綱を断じて緩めない事だ」との助言だけは先にしておきたい
さて、軍次を勤めるのは何年振りだろうか
熊谷次郎直実の忠臣と解釈している
出番は少ないが好きな役
前回も松本幸四郎の叔父さんの熊谷で、その時に普段から仲良く可愛がって下さっている中村又五郎の兄さんに教えて貰った
また、その又五郎の兄さんも紫綬褒章授章、重ねて心からお祝いを申し上げる
親子揃っての慶事、喜ばしい限りだ
話を戻そう
僕は熊谷を本役で演じた事が無い
ただ、代役として引き受けた事は有るので、後ろに控えていても以前とは全く違う感覚で細かい部分にも気が付けるのではないか
この機にきっちりと隅から隅まで勉強したいと思っている
そして、難役、幡随院
これは初役
幸四郎の叔父さんに教えて頂いているのだが、兎に角、難しい
何がって、“何もしない”と云う事の難儀さ
高麗屋の叔父さんは事細かに教えて下さるのだけれども、その仰っしゃる「落ち着いて」、「力むな」、「動きを少なく」、「どっしりと」
“静の歌舞伎”と云うのが、去年も叔父さんに教わった「新薄雪物語」の幸崎伊賀守に相通じながら、また別の手強さが有る
やっぱり、今まで演じて来たのがアクティヴな役の方が圧倒的に多いから“ドンと構える”と云う事に間が持たず、恐怖さえ感じる事が有る
所詮、根っから大物じゃないからね、僕は
元来、丸顔で貫目の無い、安く陳腐なガラクタなので、稽古中から“江戸で一目も二目も置かれる大親分”の風情が全く出ずに四苦八苦
あまり、考え込み過ぎても逆に軽くなってしまうのかも知れないし、いい意味での慣れと吹っ切れが必要なのかも知れないな
叔父さんが言ってくれた「長兵衛を楽しく、気持ち良く演れる様になれ」と云う境地に辿り着くのはいつの日だろうか
いや、そもそも、辿り着けるのだろうか
この苦しみをエンジョイ出来る様にならないと、長兵衛の様な強敵にはなかなか敵わないんだろうね
ちなみに昨日の終演後、長兵衛を先に演じている先輩である倅には「何か直す所やダメは有るか」とお伺いを立てた所、「大丈夫、結構」と云う有難い御言葉を頂いた
最後に
僭越ながら、染五郎さん、初役の初日の歌舞伎十八番の内「勧進帳」の武蔵坊弁慶
稽古中からちょくちょく様子は伺っていたが、当然ながら、昨日も裏から拝見していた
とても素敵だったよ
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とうとう、書類送検されちゃったらしいけど
押切蓮介さんの責任じゃない様な気がするんだよな
物を築いて表現しようと思う人間達は、良きにしろ悪しきにしろ、商売としてそれを前面に押し出そうとする側と軋轢、ないし、意見の相違が生まれるのは当たり前の事なんだ
実際、そう云う実の有るディスカッションが無ければ、価値有る商品が出来上がって行かないのもまた真理だしね
ジャンルは違えど、発信した物で、自分達で作り上げた作品で、対岸の人間達に喜んで貰おうと努力するのはどの稼業でも当たり前だから
可哀想に
「ツバキ」、「でろでろ」、「ハイスコアガール」、「焔の眼」、「ミスミソウ」、「ゆうやみ特攻隊」等々
僕は彼の熱烈なファンである事に全く変わりは無い
願わくば、余計な心労に悩まされずに、創作活動だけに集中出来る環境に早く戻れる様に
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「棒しばり」の扇子、今回は23打数19安打
命中率は82%ちょっとか
本番で落とした4回の内、3回は11日、18日、25日の土曜日
つまり、興行中、土曜日の命中率は0%
しかも、舞台稽古の日も落としてしまって、それも10月4日の土曜日
坂東亀三郎さんには「土曜日の怪人に取り憑かれてるんじゃないか」と、からかわれた
確かに、魔の土曜日月間だったな
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明日は国立劇場大劇場で本公演「双蝶々曲輪日記」の後に、第十四回伝統歌舞伎保存会研修発表会が行われる
演目もそのまま「双蝶々曲輪日記」
中村松江さんが南与兵衛後に南方十字兵衛を演じる
僕はまだ名古屋に於いての歌舞伎公演が続いているので、観に行けない事が残念だ
松本幸四郎の叔父さんや中村魁春兄さん、中村東蔵兄さん、中村芝雀兄さん達の教えや市川染五郎さん達のアドヴァイスを受けて、いい舞台を作り上げる事を名古屋の地から切に願っている
MyBrother、松江さん、ファイト
また、我が親戚である大谷廣太郎さん
そして、大谷廣松さんの兄弟もそれぞれ、濡髪長五郎、南与兵衛女房お早と大役を演じるとの事
今後の彼等自身の為にエンジンを掛けて、先輩方の教えを守ってただ、ひたすら大いに勉強、精進して貰いたい物だ
皆さんも本公演は勿論の事、時間と懐に多少の余裕が有れば
いや、無かったとしても、第十四回伝統歌舞伎保存会研修発表会の方にも是非、応援に行ってあげて頂きたいと、僭越ながら僕からも伏してお願い申し上げる
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