尾上松緑、藤間勘右衞門の日記

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2019.04.17 Wednesday

751

さて、昨日は昼の部一回公演
そして、今日は夜の部一回公演だった
つまり、間にほぼ一日、公演が無かった訳だ
なので、僕は昨日の公演終了後に東京に帰って来た
勿論、ちょっとした用事が有った訳だけれども、そんなのは直ぐに終わったし、口実に過ぎない
一番の目的は、東京に置き去りにして来た犬達三匹に逢う事
昨晩は一緒に遊び、一緒に寝て、久々のリフレッシュ
元気を少しだけ分けて貰い、家の仏壇にも手を合わせ
そう言えば、朝、起き掛けには俺々詐欺的電話が掛かって来たな
何で、一日だけ帰っているその日をピンポイントで狙って来るかな
あまりのタイミングの良さに笑っちゃったよ
こちらの苗字まで調べて騙ったはいい物の
居ない者の名を挙げて、トラブルを装い金をせびって来たのは随分と御粗末な筋だったね
初めての俺々詐欺体験だったので、騙されない様に気を付けつつも、頭の何処かで小馬鹿にしてしまいながら話を聞き、既に我が家に存在していない事を突っ込んでみると
辻褄が合わなくなって、面倒臭くなったのか、口篭って切りやがった
「役者騙そうとするなら、もっと深刻そうな芝居の稽古しとけ」って、家の犬達三匹も足元で嘲笑っていたよ
所詮、他人の金をちょろまかして、楽して稼ごうとする、せこい犯罪者共
賢い訳が無い
確かに下手糞で頭の軽い、馬鹿な奴等だった
話を戻そう
そんな、ハプニングも有りつつ
正午過ぎには新幹線で名古屋に戻って来た
列車ジャック等の遅延無く無事に着き、今晩の公演もさっき、恙無く終わった
計画通りに進められた、有意義なインターヴァル
残りの後半戦も我々、舞台サイドの方は千穐楽まで、来て下さるお客さんに喜んで貰える様に毎日、一生懸命勤めたいと、改めて気持ちを一つにしている
今から、坂東亀蔵さん、坂東新悟さん、中村福之助さんと景気付けに寿司を食べに行って来る

20:03 | - | - | - |
2019.04.15 Monday

750

今日は終演後に片岡愛之助さんと晩御飯
中村松江さんや中村橋之助さん達も一緒
昔、若い頃は愛之助さんとも、中村亀鶴さんとか、松江さんと共に毎晩の様に朝まで飲み歩いていた物だけれど
最近は一座する事が少なくなったからな
自然と終演後に飲む食事、なんて云う事も少なくなった
パーティーとかでは軽く飲むけれど、今晩の様に、約束して、しっかりと腰を落ち着けて飲もうと云うのは、いつ以来だろうかね
本当に久し振りで、楽しみだ
そして、明日は昼の部だけの一回公演
本公演が終わった後に、今年七月の国立劇場での歌舞伎観賞教室の宣伝写真を撮る

「菅原伝授手習鑑」、しかも「吉田社頭車引の場」の舎人松王丸の化粧って難しいんだよな

あの二本隈って、今までに取った事の無い隈だし

癇筋も眉毛の反りの内側に取る人と、眉毛の反りの延長に取る人が居る

家の祖父や、先代の松本白鸚の叔父、当代松本白鸚の叔父、中村吉右衛門の叔父、中村芝翫の兄さんとかは大体、眉毛の反りの延長に取っている印象が有る

また、中村又五郎の兄さんや十代目坂東三津五郎の兄さん、先々代市川團十郎の叔父、先代市川猿翁の小父さん等は眉毛の内側に癇筋を入れていらっしゃる

先代の市川團十郎の叔父は両方の写真が残っている

さて、僕の顔にはどちらの方が乗るかな

これは追々、公演の初日が開いたら、両方試してみる事にしよう


08:49 | - | - | - |
2019.04.08 Monday

749

やっぱり、お客さんの目は確かで逃れられないね

家の番頭から「此処数日、前の方で観て下さっていたお客さん達が『目が充血している風に思える』との意見が有った」と、言われてね

確かに、今月、初日開いて直ぐ位から、右目が充血しているのだ

平均すると毎日、五時間程度は寝ている計算になるから、寝不足でないのは明白

決して、酒の飲み過ぎではない

かな

多分

今は随分と良くはなった物の、一時期は右の白目の粘膜がぶよぶよと、目を閉じても上瞼と下瞼の間から少しはみ出る位に爛れていた

これは流石に驚いたね

白目の血管が切れたのか

その一番酷い時でも、視力の低下や痛みは感じなかったので

心配ではあったけれど、しばらくはコンタクトをやめて、頻繁に目薬を点していたら、快方に向かっている

でも、まだ、完治ではないな

明後日は一回公演だから

一応、様子見に眼科に行って来るか

何かのアレルギーなのかな

それとも、何かのストレスが身体に訴えていたのかしら


15:32 | - | - | - |
2019.04.07 Sunday

748

先月末に名古屋に来てから、休肝日は無し
毎晩、誰かと御飯を食べ、飲みに出ているので、昨日、今日は久々の一人行動
昨晩は、去年の十月から気になっていた肉バルに、調査がてら一人で潜入
なかなか、いい店だったし、出て来た食べ物もいい感じ
特に、スペアリブとホタルイカのショートパスタは美味しかったな
昨晩はラストオーダーが二十二時と云う事で、そんなに深酒しなくて済んだし
また、顔出したいと思う
今日は、昔から馴染みの、御園座近くの居酒屋で一人飲み
その店は、一ヶ月の内に多い時には六、七回は行く、落ち着く店
刺身も焼き物も相変わらず
今晩はホタルイカとサヨリの天麩羅が絶品だった
結局、昨日も今日もホタルイカ尽くしでしっかりと飲んでしまったな
日が変わらない内にホテルに帰って来た
さて、缶チューハイ飲みながら、本読むか


23:45 | - | - | - |
2019.04.03 Wednesday

747

今、坂東亀蔵さんや後輩達と、終演後に御飯食べて軽く飲んで、帰ろうと思ったら

中村松江さんに僕一人だけ拉致された

へヴィメタルバーで二人飲み

歌舞伎役者の中でへヴィメタルを語り合えるのはこの男だけだし

僕が人生でただ一度だけミスター・ドーナッツに入った時も、付き合わせたのはこの男だった

今晩はへヴィメタルでも聴かないと眠れないからな

そりゃ、付き合うしか選択肢は有るまい


01:49 | - | - | - |
2019.04.01 Monday

746

さて、今年五月からの新しい元号が令和に決まった今日
こちらは名古屋に於いて、御園座陽春花形歌舞伎、通し狂言「南総里見八犬伝」の初日が開いた
去年十月以来の名古屋
前回は「もしや」とは、思っていたが
「まさか、半年の間には改善されるだろう」と、静観していた問題が全く進歩しておらず
初日にして、懸念は現実となり、今の劇場運営方の地力と限界
そして、緩さを或る意味、痛感させられているけれど
何と言っても、去年、生まれ変わったばかりのまだ赤ん坊
先ずは劇場の成長を見守る時期、私情は横に置いて、そうしたい

ただ、見守る時期も、そうは長くは取れない

この甘っ垂れた状態をそのまま続けるのであれば、御園座は、遅かれ早かれ消滅するだろう

今の会長、社長を始めとした経営陣よりは、前の社長を頭とした体勢だった時の方が、まだ、遥かに真剣だったし、覇気と熱意が有った感触だ

どうして、こんな体質になってしまったのだろう

我々、舞台サイドは、いい作品を作ろうと、命を削って舞台に臨んでいる

運営サイドも、手に手を取って、同じ方向に向かってくれる様に、目が覚めてくれる事を切に切に願って止まない
その我々、舞台サイドの方は座頭、中村芝翫の兄さんをトップに、中村松江さん、中村梅枝さん、中村梅花さん、片岡愛之助さん、市村橘太郎さん、坂東新悟さん、坂東彦三郎さん、坂東亀蔵さん兄弟と
他にもディスカッション多く、いい雰囲気で稽古が進んで初日を迎えた
その方向で一日、一日と皆で成長しながら千穐楽に向かって行きたいと考えている
時に、僕が演じている役は犬飼現八信道
二度目だ
僕は里見の八犬士の中でも現八が随一に好き
ぶっちゃけると、一生、他の八犬士は演らなくてもいいと思っている位
「現八」と言って一番に思い出すのは、十二代目市川團十郎の叔父の現八だ
花道から駆け出て来た時の錦絵の様な美しさ
荒ぶる男らしさと匂い立つ様な色っぽさ
本来ならば、一つの中に同時に存在出来る筈の無い、相反する物の同居
あれこそ、曲亭馬琴が表現したかった現八その物なんじゃないか
自分を含め、あれに上超す現八を目の当たりにせずに、僕は死を迎える事だろう
それでいい
それ位、ただひたすら、格好良かった
荒事等も素敵だったけれど、十二代目團十郎の叔父と云うと「慶安太平記」の丸橋忠弥、「三人吉三巴白浪」のお坊吉三
そして、この「南総里見八犬伝」の現八
僕は、そう云った役が一番最初に頭に浮かんで来る
前回、演じた時にも書いたかも知れないけれど、今回も成田屋の叔父の足元に一歩でも近付ける様に毎日を大事に演じる
また、現八は僕の中では「三國志」の張飛益徳に近いイメージを持っている
いや、厳密に言えば“もう少し思慮深い張飛”と云った所か
だから、自分で持っているそう云うニュアンスを少しだけ、役の中にスパイス出来れば大成功なんだがな
最後になった
今月からまた、我が一門に新しい家族となる弟子が入った
本名から一文字を残して、尾上貴緑の芸名とした
まだ、十七歳の少年
当たり前だが、僕の息子の方が全然、年が近い
きっと、一生懸命に修行をする事だろう
いずれも様には何卒、末長い御贔屓をお願い申し上げたい


16:19 | - | - | - |
2019.03.28 Thursday

745

今日は父の命日

今、新幹線の中

さて、約半年振りの名古屋

先ずは名古屋に着いたら、ホテルに寄って荷物を解いて、その後に稽古だ

稽古が終わって夕飯を食べたら、部屋用のウェットティッシュを買うのを忘れずに帰らないといけない

それから、まだ、気の早い話だが、今回もまたチェックアウトの時にB-CASカードをTVから抜くのを忘れない様にせねばな


11:26 | - | - | - |
2019.03.25 Monday

743

さて、と
来月の公演の台本もほぼ覚えたし
今週末からはまた、一ヶ月の名古屋滞在だからな
髪切りにも行けなくなっちゃうし、今日はばっさりと美容室に行って来た
久し振りの坊主
こんなに短くしたのは何年振りだろうか
そして、まだ髭は剃ってないので、髪の毛より髭の方が量が多い

より一層の悪人面
この間、新日本プロレスを引退した、飯塚高史さんをイメージして頂ければ近いかも知れない
名古屋から帰って来たら、時間を見付けて、薄くなった眉毛の刺青も入れ直して貰わなくては
兎に角、髪が短く
いや、無くなって、頭皮のケアも楽になるし、気分もすっきり
新たな気持ちで名古屋に向かおう
その前に、先ずは家に帰ったら、犬達の散歩
そして、夜には中村松江さん、坂東新悟さん、清元雄二朗さん、河本裕之さん達と葱鮪鍋を食べてから、皆で友人の店の十三周年の祝いだ


15:24 | - | - | - |
2019.03.19 Tuesday

742

備忘録
去年後半から今年に掛けて読んだ本
「謀反の通信簿」
戸矢学さん「深読み古事記」
伊岡瞬さん「乙霧村の七人」
伊東潤さん「野望の憑依者」
木内昇さん「地虫鳴く」
司馬遼太郎さん「項羽と劉邦」
道尾秀介さん「鬼の跫音」
朱川湊人さん「水銀虫」
朱雀門出さん「首ざぶとん」
名梁和泉さん「二階の王」

秋吉理香子さん「暗黒女子」
ルーシャス・シェパード「竜のグリオールに絵を描いた男」
丸山正樹さん「デフ・ヴォイス」、「龍の耳を君に」
三津田信三さん「怪談のテープ起こし」、「黒面の狐」
明智憲三郎さん「光秀からの遺言」、「本能寺の変431年目の真実」
風野真知雄さん「馬超」、「荀イク(漢字が出ない)」
加野厚志さん「黥布」、「呂布」、「孫策」
支援BISさん「辺境の老騎士」、「辺境の老騎士2・新生の森」、「辺境の老騎士3・バルド・ローエンと王国の太子」
柴田錬三郎さん「花嫁首」、「眠狂四郎京洛勝負帖」、「眠狂四郎異端状」
相川司さん「土方歳三・新撰組を組織した男」、「沖田総司・新撰組孤高の剣士」、「斎藤一・新撰組最強の剣客」
津本陽さん「剣豪血風録」、「明治撃剣会」、「薩南示現流」
加藤実秋さん「メゾン・ド・ポリス・退職刑事のシェアハウス」、「メゾン・ド・ポリス・退職刑事とエリート警視」、「メゾン・ド・ポリス・退職刑事刑事とテロリスト」
麻見和史さん「警視庁文書捜査官エピソード・ゼロ・緋色のシグナル」「警視庁文書捜査官」、「警視庁文書捜査官・永久囚人」、「警視庁文書捜査官・灰の轍」

五十嵐貴久さん「リカ」、「リターン」、「リバース」、「リハーサル」
澤村伊智さん「ししりばの家」、「ぼぎわんが、来る」、「ずうのめ人形」、「などらきの首」
中山市朗さん「怪談狩り」、「怪談狩り・赤い顔」、「怪談狩り・四季異文録」、「怪談狩り・禍々しい家」、「怪談狩り・黄泉からのメッセージ」
桐生操さん「本当に恐ろしい殺人鬼の世界」、「世界極悪人大全」、「世界悪女大全」、「世界禁断愛大全」、「世界性生活大全」、「世界情死大全」
岸田裁月さん「異常な殺人博物館」、「不埒な殺人博物館」、「殺人博物館・英国的殺人事件・近代編」、「殺人博物館・英国的殺人事件・現代編」、「殺人博物館・女でも殺す」、「殺人博物館・子供でも殺す」、「殺人博物館・若気の至り」、「殺人博物館・愛の劇場」、「殺人博物館・ありふれた事件」、「殺人博物館・学校襲撃」、「殺人博物館・きちんと後始末」、「殺人博物館・ころしすぎ」、「殺人博物館・突飛なる事件の系譜」、「殺人博物館・迷宮への招待」
と、云った所かな
この内、何冊かは読み直しの作品も有る
数は割と良く読んだ方だな
今は北方謙三さんの「楊家将」の下巻を読んでいる
このシリーズはこの後「血涙・新楊家将」(上下巻)、「水滸伝」(全十九巻)、「楊令伝」(全十五巻)、「岳飛伝」(全十七巻)と続く
既に、電子書籍で全て揃えてはあるからな
出来れば、今年中に読み終わりたい


16:09 | - | - | - |
2019.03.10 Sunday

740

一昨日は坂東玉三郎の兄さんに紹介して頂いた病院に、診察と、膝に三本、注射を射って貰いに行った

流石に玉三郎の兄さん御用達の病院だけ、びっくりする程に痛みが引いている

いや、痛みがと云うよりも、膝に有った違和感が引いている

どうやら、話を聞くと、これは痛み止めなのではなく、幹細胞が中で治療してくれているとの事

有難や

この治療はしばらく続けて行きたい

ところで

昨日は名取式を終えた後、ミュージック・テイト西新宿店へ神田鯉栄さんの、西新宿ぶら〜り寄席“第六回・鯉栄・新作一年生”を観に行って来た

鯉栄さんも寄席でインパクトを受けて興味を持った講談師だからね

新作の講談が三本

その中には去年、寄席で聞いた流山動物園の連作物の続きも有って、嬉しかった

やっぱり、迫力も凄かったね

牛太郎、使えないな

そして、今日も今日とて

と、云うか 、今日は神田松鯉さん目当てで、名取式終了後の十九時位を目指して

中入り前から、新宿の末廣亭に

二日連続、新宿で講談

そうしたら、何と、予想外の事に中入り後には神田松之丞さんも出演

知らなかっただけに得した気分

松鯉さんは「寛政力士伝・谷風の情け相撲」

改めて、御大の力まないのに人を引き込む芸

さらりと格好良くて憧れる

尊敬してしまうね

いつかは僕もあんな風に肩の力を抜いてもお客さんに納得して貰える様になりたい

ジャンルは違えどそこを教わりたい

松之丞さんは「寛永宮本武蔵伝・山田真龍軒」

熱演でこちらもまた、格好いい

何度聞いても飽きない、盛り上がる話だ

他に観たのは

コント、チャーリーカンパニー

曲ごま、やなぎ南玉さん

奇術、北見伸さん

落語、柳亭芝楽さんから入って

三遊亭圓丸さん、三遊亭遊之介さん、三遊亭遊吉さん、三遊亭遊雀さんと云った面々

うん、どなたも楽しかったな

そして、勉強にもなった

楽しくて勉強にもなる、一石二鳥にも三鳥にもなる

観察力が鋭くて臨機応変、器用な遊雀さん

僕は僕の持っていないもの当たり前の様に備えている人を、羨ましく、また、その会得なさった陰での努力に本当に魅力を覚え敬服、感動してしまう

新たにファンにもなってしまいそうだ

それにしても、今月は先月と打って変わって時間が早く感じるな

あっと言う間に過ぎて行く

さて、清元雄二朗さんには振られたので

これから、中村松江さんや、坂東新悟さん達と、飯食いに行くかな

飯だけで済む筈は全然しないんだけれど


22:07 | - | - | - |

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