先ず九月は明日が初日の秀山祭
今年の四月以来最近ずっと仲良くさせて頂いている中村福助の兄さんが踊られる「京鹿子娘道成寺」にて押戻しの大館左馬五郎輝剛を演じる
福助の兄さん直々の御指名と云う事で実に嬉しい
押戻しは十五年以上振りで、何より去年亡くなった中村芝翫の小父さんを偲んでの狂言と銘打っているので身の引き締まる思いだ
台詞にもその事を少々含ませて貰った
また、十月は曾祖父である七代目松本幸四郎追遠の興行で「国性爺合戦」の和藤内と「曽我綉侠御所染」の星影土右衛門
和藤内は国立劇場での初演の時に亡くなった中村富十郎の小父さんに教わった
体力勝負の豪傑だが自分に合っていると思う好きな役の一つ
特に「紅流し」は短いが演じているこちらのテンションが上がる場面
教えて頂いた事を思い出して復習しつつ、天王寺屋の小父さんの足元に一歩でも近付ける様に全力投球で勤めたい
星影土右衛門は恐らくはいつか勤めるであろうと考えていた役
市川左團次の兄さんに稽古をお願いをしたら快く引き受けて下さったので、有難く心強い
舞台上で演じてどう云う気持ちになるのか、今から楽しみである
気が付いたら今年ももう半分以上過ぎていた
時と云うのは早い
僕自身は生きている間に後どれ位舞台に立てるのだろうかね
親戚であり仲のいい、来月も再来月も一座する筈だった市川染五郎さんが大怪我をしてしまい心配だが、待つ事しか出来ない
一日でも早く全快し元気な姿に戻る事をひたすら願う