歌舞伎役者
四代目尾上松緑
日本舞踊家
六世藤間勘右衞門
己が吐き出す為だけの
取るに足らぬ残日録
無断の転載や
スクリーンショットの盗用等
断じて願い下げる
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昨日、新橋演舞場での十一月の歌舞伎公演が千穐楽を迎えた
僕は「人情噺文七元結」の鳶頭伊兵衛と「四千両小判梅葉」の浅草無宿才次郎の二役で出演していたのだが、それ以外に実は二日から二十二日まで「一谷嫩軍記」の熊谷次郎直実も演じていた
これは本役で勤められていた片岡仁左衛門の兄さんが体調を崩し休演され、その松嶋屋の兄さんが「今月の座組の中ならば代役は松緑に」と言って下さり代わりとして勤めさせて頂いたのだ
この熊谷と云うのは生前、祖父も得意にしていた
その祖父を含めた、言わば歌舞伎界でも四番バッター、エースストライカーと認められた俳優しか任されない歌舞伎を代表する役の一つ
スケールが小さく英雄の顔色を欠片も持たない僕は正直、一生演じる事は無いと思って諦めていた
だから今回、御指名下さり初めて演じる事になったのは本当にびっくりした
この芝居には何度も出ているので、舞台上で熊谷がする事は大体把握はしていたが、何と言っても経験の無い役
知っている事、分かっている事と出来る事は意味が全く違う
それを前の晩に代役を言われ急遽、初役を稽古無しのぶっつけ本番で演じる話になろうとは誰が想像しようか
徹夜の突貫工事の末、辛うじて代役初日の幕を閉めた
久々に口の中が乾き切り吐き気を覚え冷や汗が背中を流れ膝が笑い足も震えながら鳥屋口を出た
それでも足りないながらも何とか無事に幕だけは閉められたのは、一緒に舞台に立っていた市川左團次の兄さん、片岡秀太郎の兄さん、中村魁春の兄さんの励まし、中村梅玉兄さんの恐らくは二人の間でしか通じなかったであろう温かいアイコンタクト
そして楽屋では尾上菊五郎の兄さんや、中村時蔵の兄さん、市川團蔵さんや河原崎権十郎さん、また同輩の尾上菊之助さん、坂東亀三郎さん、中村松江さん達が勇気付けてくれた御陰
坂田藤十郎兄さんは握手をしながら有難い言葉で誉めて下さった
中村翫雀の兄さんと中村扇雀の兄さんが労いの言葉を掛けてくれた
片岡孝太郎の兄さん、片岡愛之助さん、明治座から市川猿之助さんも前日に応援の電話やメールをくれた
普段から気心知れている坂東亀寿さんが花道の向こう、同じ舞台上に居たのも「一人ではない」と、心強かった
松嶋屋の兄さんのお弟子さん方、竹本葵太夫さん、鶴澤宏太郎さん、杵屋栄津三郎さん、田中長十郎さん達の手厚い協力と、有形無形の後押しが有ったからこそ、結果半月以上に渡った代役期間を終わらせられたと思う
心から感謝している
何より、この興行中に松嶋屋の兄さんが復帰して下さった事が一番嬉しい
後は体調が完全快癒されるのを心から待つばかりだ
ただ、この一連の流れを面白おかしく笑い話にする者達が存在していたのが唯一残念だ
僕はいい
そりゃ、僕だって三十八度近い熱の中、命を削る思いで代役を勤めたけれども
それでも僕の事なんか誰が馬鹿にして笑い者にしようが慣れっ子だからどうだって構わない
気に食わないのは“十一月の公演の大黒柱の一人に不慮のハプニングが起こり、それを他の人間達が力を合わせて必死に補おうとしている”事を半笑いに茶化して揶揄する部外者が居た事だ
僕も実際、何人かに直接言われ、叩き付けられた
切符を買ったのか、観に来たのかどうかも知らないが、何を言ってもしても構わない、許される訳では無い
知ったか振って一席打った所で、所詮は自分の厚顔無恥を外に晒すだけだ
本当に底が浅い
そう云った思い上がった輩ははっきり言って二度と歌舞伎を観たり語ったりするのをよした方がいい
もし心当たりが有る者が居たら恥と云う概念を弁えて畢竟、血を吐いて藻掻き死ぬ程に痛く悔い改めるべきだ
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医者からノックビンと云う薬を処方されるが、幾らピルイーターの僕でもどうにもこの薬は飲む気にならない
だから、薬局で受け取ってもただの一度も飲んだ事が無い
ノックビンだけは便所に捨てて流すだけ
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見たくなくても化粧する時とかに毎日鏡を見なきゃならないから自分ではあんまり気が付かないんだけど、最近色々な人から「体重を落としてるのか」と良く聞かれる
その人数は日に片手じゃ足りなくなる位
自分では身体が軽くなった気もしてないし、そんなに違和感は無い
ただ確かに最近、ベルトとブレスレットの穴が奥になった
また、指回りが細くなったらしく全ての指輪を直しに出して一号ずつ詰めて貰った
特別に何かをした訳じゃないのに、全身が縮んで行ってる気はしないでもない
何か病気なんだろうか
病院での検査は定期的にして貰ってて、今の所は特に異常が見付かってない筈なのに何故なのかね
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