歌舞伎役者
四代目尾上松緑
日本舞踊家
六世藤間勘右衞門
己が吐き出す為だけの
取るに足らぬ残日録
無断の転載や
スクリーンショットの盗用等
断じて願い下げる
76
今月の新橋演舞場での歌舞伎公演の「暗闇の丑松」と云う芝居
今までも「泥棒と若殿」や「恩讐の彼方に」等でも御世話になっている大場正昭さんに演出をして貰った
普段から気心が知れている仲で非常に信頼の置ける演出家さんだ
その人が「年間通していい芝居だと自負出来る作品にはなかなか出会わないが、これはその一つで、客席からもとても楽しく観られる」と言って下さった
これは誉めて貰ったと取っていいんだよな
望まれず、求められる事も無く、価値無く、憎まれ続ける僕にでも、そう言って貰える作品が数少なくても有る、そう言って貰える事が許されると云う事、本当に有難い言葉だ
祖父、先々代松緑の当り役の一つ「妹背山女庭訓」の鱶七と父、先代辰之助の代名詞でもある「暗闇の丑松」の丑松と二役を立て続けに勤めている今回の様な公演だと「今、生きているのが僕でなく祖父、父だったら、交換に死ぬ事が出来たら」と常日頃以上に考える
祖父や父のファンには「今月、鱶七や丑松を演じているのが僕で大変に申し訳無い」と地に頭を擦り付けてひたすらに詫びたい
祖父や父ではなく、僕であると云う事自体が既に罪なのだから
その昼の部の公演を今日、小清水亜美さんと広橋涼さんが観に来てくれた
彼女達は歌舞伎初体験だった訳だが、新鮮に楽しんでくれたみたいで良かった
初めて観てくれた人達の素直な感想がそうだと、本当に嬉しいよ
「僕でも生きていて、芝居をして、踊っててもいいのかな」と励みになる
また今度飲む時に詳しい意見を聞いて、今後の参考にしたいね
今月の興行も残るは明日の千穐楽ただ一日
最後まで自分のするべき事を信じる道に従って進むだけだ
ちなみに「暗闇の丑松」と云う芝居、天保の時代の銭湯の場面が有るだけに役者の裸率がかなり高い
そこで先日、褌一枚の僕と山崎咲十郎さん、そして腰に一枚手拭いを巻いただけの市川茂之助さんのトリオで記念のスナップを撮った
これは表には出せない秘中の秘である
ただ、何か一つアクセントが足りない
考えてみたら褌に半纏と云う姿の坂東亀寿さんが欠けていたのだ
そこで、彼に「改めて四人で裸の記念写真を撮ろう」と持ち掛けたのだが、「幾ら暖かくなったからと云って、終演時間までそんな寒い格好で待っていられるか、大体が気持ち悪い」と、素気無く断られて仕方無く裸カルテットのサーヴィスショットは断念した次第
だが、もしあの写真に写っている三人の誰かが今死んだら、あれが遺影になるのかと思うとちょっと面白いな
| - | 19:52 | - | - | このページのトップへ
75
今月、僕は新橋演舞場での歌舞伎公演に出演している訳だが、今回の公演では名題下の役者達も非常に活躍している
僕に関わる所だけでも「妹背山女庭訓」での、普段は立役ながら古風な芝居で意地の悪い官女を演じ舞台を盛り上げてくれている尾上音之助さん、去年と同じ力者の役で僕と息を合わせてくれて見事なトンボを返ってくれている中村京純さん
「暗闇の丑松」では褌一枚細マッチョの真っ裸で小気味いいフットワークを披露してお嬢さん、元お嬢さんだったお客さん達を色めき立たせている山崎咲十郎さん、生きのいい芝居で江戸っ子の生活にリアリティを持たせる市川茂之助さん
他にも今月はあまり表立ってはいないが裏で後見や目立たぬ仕事等を沢山してくれている尾上音一朗さんや坂東八重之さん、坂東やゑ亮さん、また中村竹蝶さん、中村蝶三郎さん達
名題下ではないが、上に挙げた二つの演目で僕をフォローしてくれている、飲み友達でもある坂東橘太郎さん
また音楽隊、音響、照明、大道具、小道具、床山、衣裳
そう云った人達が存在しなければ纏まったいい芝居なんか成立しないし、僕達も芝居は出来ない
実に有難く感謝している
そして、僕個人としては昼夜に渡って中村梅枝さん、中村壱太郎さんと云う僕には勿体無い出来た可愛い奥さんを二人も持てている上に、尾上菊之助さん、市川高麗蔵の兄さん、中村芝雀の兄さん、上村吉弥さんと見目麗しい女形さん達とも一緒に芝居をさせて貰えて、華々しい女性遍歴である
私生活では全く女性に縁の無い僕からしてみると、幾ら仕事の上とはしてもこう綺麗所に囲まれているのは嬉しい限りだ
ちなみに、昼の部では二つの演目でトータル六人のキャラクターが死んでいるが、自殺の一人以外の五人は全て僕が殺している
また、夜の部「一條大蔵譚」での壱太郎さんと僕の夫婦は花粉症カップル
もう千穐楽まで残り一週間を切ったが、これから観に来て下さる予定の有る人や、「観てやってもいいかな」と思って下さっている人は、その辺りも気にして観劇されるとちょっと面白さが増すかも知れない
| - | 02:45 | - | - | このページのトップへ
74
去年からこうやって日記を書き始めて、「TWITTERやFACEBOOKやMIXIとかはやっていないのか」との質問を貰う事が有る
その手の物はやってもいないし、始めるつもりも無い
前回も書いた通り元来、さして器用ではない上に目立つ事が嫌いで、更には面倒臭がりな人間なので始めたとしても長続きしないであろう事は何となく予想出来る
文章を書き慣れてない僕からすると、月に数度こうやって日記を書くのが精一杯だ
詰まらない話ばかりだがこれはなるべく長く続けて行こうとは思っているので、それで勘弁して頂けると有難い
話は変わるが、近頃は花粉が酷いね
毎年この時期になると、頭皮、顔、鼻の穴の中から喉の奥まで全部荒れて痒くて堪らない
そこに煙霧やら黄砂やらPM2.5やらと来たら最早悪夢でしかない
杉、桧、豚草、犬、猫、ハウスダスト等々、かなりの数のアレルギーを所持してる僕からしてみると、一年中昼夜関わらずアレルギー止めの薬は手放せない
また、昨日は植松伸夫さんが御夫妻で今月の新橋演舞場での歌舞伎公演昼の部「妹背山女庭訓」と「暗闇の丑松」を観に来て下さった
初めての歌舞伎だったとの事だが、非常に興味深く喜んでくれたのが有難かったね
最後に、今月前半の小清水亜美さんの舞台公演も大成功に終わったみたいだし、阿澄佳奈さんは声優アワード主演女優賞と歌唱賞のダブル受賞をされたし、花粉、煙霧、黄砂、PM2.5とかの被害さえ除けば此処の所は割と個人的に嬉しい事が続いている訳だ
| - | 20:16 | - | - | このページのトップへ