2013.07.30 Tuesday
93
一昨日、今月の歌舞伎座での歌舞伎公演が千穐楽を迎えた
まさか柿葺落公演の中で女形を披露
しかも、その新しい歌舞伎座で初の宙乗りをするのが自分だとは想像だにしなかった
そして、通し狂言の演し物をしよう事等一生無いとも思っていたので、それに誰より一番驚いたのも僕に他ならないと断言出来る
普段はあまり御一緒する機会が少ない、中村小山三さんに色々と助言を貰ったり、写真入りのチロルチョコをプレゼントしてくれたのも嬉しかった
責任有る仕事を今月も、津川雅彦さんや大沢悠里さん、篠山紀信さん、加納幸和さん、本郷弦さん、西森英行さん、見城美枝子さん、小清水亜美さんに広橋涼さんと云った、懇意にさせて頂いている方達も応援に駆け付けてくれて観て貰えたと云うのは仕事冥利に尽きるね
昼の部の演目「加賀見山再岩藤」の岩藤の霊で尾上菊之助さんに酷い嫌味を言った上に草履で引っ叩く暴挙に出た応報に夜の「東海道四谷怪談」の直助権兵衛では、惚れた女を彼に奪われた上、散々虚仮にされると云う仕返しを受けた訳だが
今月、演じていた三役の中では直助に一番シンパシーを感じる
「加賀見山再岩藤」で演じていたもう一役の鳥居又助
所謂、ただひたすら律儀ないい人
彼は謀略に巻き込まれ、忠義と義理と愛情の挾間で八方塞がりの苦悩した結果、切腹する
切腹、と言えば潔く聞こえはいいかも知れないが、要は自殺
僕は他人に袋小路に追い詰められて自殺するなんて真っ平ごめんだ
自殺するにしても、自分の権利と信念の下で納得しながら死んで行きたい
そこに行くと直助は、自分の事だけしか考えていない
己の欲望、女、金、帳尻合わせ、それだけだ
その為には殺人、窃盗、強請、買春、ストーカー行為にレイプ紛い、どんな下衆で汚い事さえもする
しかも、そこに善悪の概念なんかは一切持ち合わせていない
今回の台本ではカットされたが、直助も最後は切腹して死んで行く
だが、あの男の切腹は又助の場合と違って自分が望んでの死の形だ
最後の最後まで自分がどう在りたいかが一番大事な男だったのだろう
その本能が羨ましい
あれ程自分に正直な男は、歌舞伎のキャラクターの中にもなかなか存在しない
僕もそう生きて、死んで行きたい物だ
人間の根本は所詮、性悪説だからね
ちなみに、坂東亀三郎さん演じた奥田庄三郎が顔の皮を剥がれた後にかぶっていたマスクだけは小道具ではなく、我が弟子の尾上松男の製作である
なかなかグロテスクに良く出来ていたよ
話は変わるが、考えてみたら僕は振られる役が多い
数年前、亡くなった中村富十郎の小父さんの矢車会と云う公演で清元の「お祭り」を踊った時
あの振付は我が藤間流だったが、中村福助の兄さん演じる芸者を、市川染五郎さんと僕の二人の鳶頭が奪い合い、結局は福助の兄さんと染五郎さんがくっ付いて、僕が振られると云う演出だった
「毛抜」の粂寺弾正に至りては一演目の間に立て続けに二度振られるしね
プライヴェートでも大体が高値の花狙いだったので、撃墜率は三割ちょっと程度だったから、この立ち位置は当たらずとも遠からずか
これが打率だったら三割超えなんて、広島東洋カープや西武ライオンズでもスタメンに入れて首位打者争いにも名を連ねられる筈なんだけどね
昨日は九月の歌舞伎公演の記者発表だった
はっきり言って、あの手の場は嫌いだ
意図してもいない事すら大袈裟且つ中途半端、ドラマティックに脚色、曲解され、伝えたい話は伝わらず、くだらない妄想や憶測が垂れ流されるのが殆どだから
だが、それも仕事の内といつもいつも腹の中で苦虫を噛み潰して我慢している
明日はその公演の宣伝写真撮り
今週末には来月四日に行われる藤間勘陽女さんの舞踊会、藤陽会に素踊りの長唄「供奴」で出演する為に倉敷に行く予定である
まさか柿葺落公演の中で女形を披露
しかも、その新しい歌舞伎座で初の宙乗りをするのが自分だとは想像だにしなかった
そして、通し狂言の演し物をしよう事等一生無いとも思っていたので、それに誰より一番驚いたのも僕に他ならないと断言出来る
普段はあまり御一緒する機会が少ない、中村小山三さんに色々と助言を貰ったり、写真入りのチロルチョコをプレゼントしてくれたのも嬉しかった
責任有る仕事を今月も、津川雅彦さんや大沢悠里さん、篠山紀信さん、加納幸和さん、本郷弦さん、西森英行さん、見城美枝子さん、小清水亜美さんに広橋涼さんと云った、懇意にさせて頂いている方達も応援に駆け付けてくれて観て貰えたと云うのは仕事冥利に尽きるね
昼の部の演目「加賀見山再岩藤」の岩藤の霊で尾上菊之助さんに酷い嫌味を言った上に草履で引っ叩く暴挙に出た応報に夜の「東海道四谷怪談」の直助権兵衛では、惚れた女を彼に奪われた上、散々虚仮にされると云う仕返しを受けた訳だが
今月、演じていた三役の中では直助に一番シンパシーを感じる
「加賀見山再岩藤」で演じていたもう一役の鳥居又助
所謂、ただひたすら律儀ないい人
彼は謀略に巻き込まれ、忠義と義理と愛情の挾間で八方塞がりの苦悩した結果、切腹する
切腹、と言えば潔く聞こえはいいかも知れないが、要は自殺
僕は他人に袋小路に追い詰められて自殺するなんて真っ平ごめんだ
自殺するにしても、自分の権利と信念の下で納得しながら死んで行きたい
そこに行くと直助は、自分の事だけしか考えていない
己の欲望、女、金、帳尻合わせ、それだけだ
その為には殺人、窃盗、強請、買春、ストーカー行為にレイプ紛い、どんな下衆で汚い事さえもする
しかも、そこに善悪の概念なんかは一切持ち合わせていない
今回の台本ではカットされたが、直助も最後は切腹して死んで行く
だが、あの男の切腹は又助の場合と違って自分が望んでの死の形だ
最後の最後まで自分がどう在りたいかが一番大事な男だったのだろう
その本能が羨ましい
あれ程自分に正直な男は、歌舞伎のキャラクターの中にもなかなか存在しない
僕もそう生きて、死んで行きたい物だ
人間の根本は所詮、性悪説だからね
ちなみに、坂東亀三郎さん演じた奥田庄三郎が顔の皮を剥がれた後にかぶっていたマスクだけは小道具ではなく、我が弟子の尾上松男の製作である
なかなかグロテスクに良く出来ていたよ
話は変わるが、考えてみたら僕は振られる役が多い
数年前、亡くなった中村富十郎の小父さんの矢車会と云う公演で清元の「お祭り」を踊った時
あの振付は我が藤間流だったが、中村福助の兄さん演じる芸者を、市川染五郎さんと僕の二人の鳶頭が奪い合い、結局は福助の兄さんと染五郎さんがくっ付いて、僕が振られると云う演出だった
「毛抜」の粂寺弾正に至りては一演目の間に立て続けに二度振られるしね
プライヴェートでも大体が高値の花狙いだったので、撃墜率は三割ちょっと程度だったから、この立ち位置は当たらずとも遠からずか
これが打率だったら三割超えなんて、広島東洋カープや西武ライオンズでもスタメンに入れて首位打者争いにも名を連ねられる筈なんだけどね
昨日は九月の歌舞伎公演の記者発表だった
はっきり言って、あの手の場は嫌いだ
意図してもいない事すら大袈裟且つ中途半端、ドラマティックに脚色、曲解され、伝えたい話は伝わらず、くだらない妄想や憶測が垂れ流されるのが殆どだから
だが、それも仕事の内といつもいつも腹の中で苦虫を噛み潰して我慢している
明日はその公演の宣伝写真撮り
今週末には来月四日に行われる藤間勘陽女さんの舞踊会、藤陽会に素踊りの長唄「供奴」で出演する為に倉敷に行く予定である
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