歌舞伎役者
四代目尾上松緑
日本舞踊家
六世藤間勘右衞門
己が吐き出す為だけの
取るに足らぬ残日録
無断の転載や
スクリーンショットの盗用等
断じて願い下げる
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ニュースで知ったけど広島の前田智徳選手、とうとう引退か
あの骨折をした時から、薄々はそうなってしまう気がしてたんだよね
引退会見でも「辛い野球人生」と仰っしゃっていたけども、ずっと勝手に彼の生き様に励まされ、「あの様な人間になりたい」と思って来た
僕にとってはソフトバンクの秋山幸二監督の現役時代と並んで、最高のプロ野球選手だった
憧れの人だった
これで僕ももう、今後のプロ野球にこれまで程の興味を持つ事は無い気がする
今はただ、何も考えずにゆっくりとして欲しい
今まで、挫けそうな時に沢山の勇気を与えて下さって、本当に感謝している
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昨日、今月の歌舞伎座での興行がどうやらこうやら無事に千穐楽を迎えた
昼の部の「新薄雪物語」で勤めた幸崎伊賀守、人生で初めて松本幸四郎の叔父さんに稽古をして頂いた
台詞や動きは勿論、化粧のし方、テクニックの事等も色々と言って下さったが、何よりも厳しい注意だったのが“不動心”と云う心構え
“緊張感を途切れさせず何もかもを全て飲み込んで、心を波立たせず、動じず、声も荒らげず、身体も殺して、しかし、迫り来る事態を静かな気迫で堂々と一滴漏らさず受け止める”
言葉にするのは何だかとても難しいが、大体こう云う事ではないか、と僕は考えている
そればかりに気を取られて芝居が疎かになっては本末転倒ではあるが、役に影響が出ない位に、僕の中では頭の上に水が一杯に張ってある瓶を乗せて、それを零さないイメージを心掛けながら舞台に乗っていた
今までに演じて来た大半はそれとはほぼ正反対のアクティヴな役だった僕には、そのあらゆる物を腹に納めて飲み込む演技は非常に困難
これは一生を懸けて追い求めて行く課題だな
実際、動きが多く発散する役よりも微動だにしないで表現しなければならない役の方が肉体的にも心的にもハードな事が多い
歌舞伎十八番の内「勧進帳」や新歌舞伎十八番の内「船弁慶」の源義経然り、僕は演じた事は無いけれど「菅原伝授手習鑑」の菅丞相とか「妹背山女庭訓」の大判事清澄も恐らくはその類いなのではないかと推察する
これまでに伊賀守を演じて来られた先輩に依っては陰腹の意識を保つ為にわざと微かな痛みを常に覚えている様、「合腹」の場面で衣裳の下に剃刀を手拭いに包んで腹に当てて園部兵衛の屋敷に訪れる方もいらっしゃったそうだ
僕は祖父の弟子である尾上扇緑、父の弟子である尾上辰緑、二人の教えてくれた言葉に従って祖父がやっていた通り、剃刀ではなく木の杭を垂直に腹に刺して出ていた
御陰で今、僕の左腹は圧迫傷と擦り傷と痣で見ちゃいられない位に酷い有り様だ
また、千穐楽を迎えたから出来る話、実は先週の土曜日に左のふくらはぎを痛めた
肉離れと診断された
先週の頭位から右足の疲労を気にしていたのだが、それを庇って左足の方に来てしまったらしい
恐らくは「詮議」の場面中、伊賀守はただ正座をして全く動く事の無い場面でだ
体力や力には割と不安の無い僕だけど、初日前の稽古から続いていた連日のあの場面の空気と役の息を詰める緊張感に身体内の悲鳴が徐々に耐え切れなくなって、あの瞬間に暴発したのだろう
身体にダメージを与えるのは肉体的影響だけでなく心的影響も作用するのだ、と改めて実感した
確かに、伊賀守とはそれ程に決意の要る役だった
今回、幸四郎の叔父さんに教えて頂けたのは様々な事を気付かせて貰え、非常に勉強になり有難かった
明日は建て替わった新しい歌舞伎座で初の舞踊会、新開場記念歌舞伎座特別舞踊会にて藤間勘右衞門として、義太夫・囃子「寿式三番叟」を藤間勘十郎宗家と踊る
さっき、舞台稽古が終わった所
とても手数が多くリズミカルでスリリングな目出度い踊り
一回切りの公演、右足も左のふくらはぎもテーピングさえすれば何とか持ちそうだ
勘十郎宗家と踊るのは僕自身もとても気持ちが盛り上がって楽しいし、もしも時間と懐に余裕が有ったらば是非、観に来て頂きたい
そして、明後日からは十月の歌舞伎座での興行の稽古
此処では僕は通し狂言「義経千本桜」の「鳥居前」にて去年に引き続いて狐忠信を演じる
この役もまた、亡くなった中村富十郎の小父さんに稽古して頂いた財産
みっともない姿を天王寺屋の小父さんに晒す真似は出来ない
まだまだ当分、肉体的表現が多い役が続くが、例え足が引き千切れてでも今の自分が出来る最大限の事をし続けて行くだけだ
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市川染五郎さんの知性
片岡愛之助さんの収束へ持って行く力強さ
坂東亀三郎さんの声の良さ
尾上菊之助さんの洞察力
市川海老蔵さんの圧倒的な存在感
坂東亀寿さんの安定感
中村勘九郎さんの巧さ
中村七之助さんの美しさ
中村梅枝さんの舞台度胸
坂東新悟さんの初々しい可憐さ
僕が言うのもおこがましい話だが皆さん、それぞれに素晴らしい
どれとして持ち合わせていない僕は本当に羨ましい
市川團蔵さん、河原崎権十郎さん、市川右之助さん、片岡市蔵さん、片岡亀蔵さん、上村吉弥さん、中村松江さんと云った先輩、同輩、また名題、名題下、音楽隊、音響、照明、特殊効果、大道具、小道具、床山、衣裳、演出家、振付師、立師、スタッフ達の協力、助力と助言
そして何よりもお教え下さった叔父さん、兄さん方のお力添え
今月の歌舞伎座での公演が色々なハプニング等に遭遇しながらも、此処まで何とか無事に来ている事、上記の何かが一つ欠けたとしても成立しなかった事だろう
千穐楽まで残り六回
最後まで息切れを起こさない様にラストスパート
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“新作歌舞伎”と銘打っているとは言え、“歌舞伎座”で上演している“歌舞伎”だ
確かにそんな雰囲気な幕切れではあるから、分かりたくなんかないけれども、それでも気持ちは分からないでもない
今日までに何回となく、夜の部終演後のカーテンコールをせがむ人達に遭遇した
感心出来ないし、はっきり言ってよして欲しい
実際、現実問題として三幕有る芝居の中で出番が一幕目、ないし二幕目で終わってしまっている役者達にはどうしろと言うのか
「拵えをしたままラストまで待っていろ」と言うのか
それに因って床山、衣裳とか裏方の、かつらを結い直したり、衣裳の汗を抜いて綻びを直したり、大道具、小道具の修理なんて時間の掛かる作業が終演後に猛烈に立て込んでしまう事等まで考えて、それでも「切符を買った人間の権利なんだから、そんなのは知った事か」と、無責任に振り翳すのか
だったら、そんな権利より前に、今や他のジャンルの演劇ではほぼ徹底されているのに明らかに歌舞伎でだけは未だに認識が甘い“上演中は携帯電話の電源は切る”、“録画、録音、撮影は断じてしない”、“劇場内では帽子を取る”と云う様な最低限度のマナーを先ずは是非とも全員で果たして頂きたい
これは僕、一個人の考え
他の役者やスタッフの意見は誰一人として一切入っていない事をお断りしておく
ただ、演劇にはそれぞれ各ジャンルでルールが有る
海外公演とかを含む、極々稀な場合を除き“カーテンコールと云う物は存在しない”、これもまた“歌舞伎”のルールの中の一つだと思っている
その代わりと云うか代替、同様の物として「口上」や“切り口上”、“引っ張りの見得”、“幕外の六方”と云った演出方法が有るのではないかな
そう云う所にこそ“歌舞伎”特有の美学が有るのではないかな
だから、他の演劇に出演した時、する時はカーテンコールをやる事は有ったし、これからも有るだろうが、“歌舞伎座”で“歌舞伎”として上演している「陰陽師」
この演目でカーテンコールに出て行く事は、僕は無い
意地を張っている訳でも格好付けている訳でも、ましてや面倒臭いから嫌がってるなんて訳でも当然無い
これは“宝塚歌劇団の芝居には男は立たない”とか“相撲の土俵には女は立たない”とか“サッカーではゴールキーパー以外は手を使わない”とかと同様の至極常識的な話ではないのかな
「時代遅れ」と言われようとも「頑固」と言われようとも、事実なのだから構わない
そう云う、小さいけれども深く、濃い、核の大切な部分を蔑ろにしてしまうと、行く行く歌舞伎と云う演劇はそのアイデンティティーを無くして、他の演劇に埋もれてその姿を失ってしまう気がする
僕にはそれが一番危ぶまれてならない
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信じられない
今、飲んでいて、学生時代に大好きだったバンド、Rogueのヴォーカリストだった奥野敦士さんが解散後に事故で半身不随になってしまわれていたって話を耳にした
知らなかったよ
有り得ん
かなりショック
自分がギター弾きだっただけに、特に「I'mAGuitarist」って曲に痺れてた
良くなられて、また他には無いあの心に響く声を聴かせて貰える時を待ちたい
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夏は嫌いじゃない
嫌いじゃないけど、「夏と冬とではどちらが好きか」と問われたら冬だ
何故ならば冬生まれだからね
でも、一番好きじゃないのは夏の終わり
蝉が死ぬから
僕は虫が嫌いだが、中でも特に蝉が駄目
ゴキブリよりも遥かに苦手
カボチャと同じ位に
あの、裏っ側のグロテスクさが我慢ならないのだ
死ぬ間際の蝉って見苦しい程にジタバタと飛び回るよね
あれが身体にぶつかりそうで物凄く恐ろしいのだ
従って、蝉が樹上で鳴いている夏の間はまだいいのだが、奴等が僕達の身体に体当たりして来る可能性が日に日に増えるこの時期が至極憂鬱
昨晩も一人で美味い酒を堪能し泥酔した結果、フラフラと歩く帰り道に蝉の死骸を踏み潰し中学生女子の様な悲鳴を上げてしまった
コンヴィニエンスストアの自動ドアの前に死んでるのか生きてるのか分からない蝉がひっくり返っていようならば、どんなに必要に迫られて買い物をしなければいけない状況でも、その店に入るのはいとも簡単に諦める
それ程、奴等は怖い
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