歌舞伎役者
四代目尾上松緑
日本舞踊家
六世藤間勘右衞門
己が吐き出す為だけの
取るに足らぬ残日録
無断の転載や
スクリーンショットの盗用等
断じて願い下げる
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昨日が祖父の命日
そして、今日と明日がいよいよ歌舞伎座での藤間流大会だ
この藤間流大会と云うイヴェントも、自分の六世藤間勘右衞門襲名以来、いや、それ以前から今まで何度も経験して来た筈なのに、今回は何だか凄く緊張して、昨晩は殆ど眠れなかった
正直、自分の事よりも子供達の事に気が行ってしまい、自分一人が踊るよりも余程、神経を使っている
こんな事は初めてだな
兎に角は、ゲストの御二人、門弟の皆さん、演奏家の先生達、スタッフの方々、その他にも協力して下さっている全ての人達と協力して、この二日間を盛会、且つ無事に終わらせられる様にベストを尽くすだけだ
先日の日記で紹介した自分や子供達の出演する演目以外にも、とても素晴らしい舞踊が沢山並んでいる
特に僕がお勧めなのが、清元「斧琴草」、「喜撰」、「お祭り」、「双六」、「青海波」、「玉屋」、奏風楽「牡丹花抄」、長唄「風流船揃」、「藤娘」、「都風流」、「たぬき」、「旅」、「雨の四季」、常磐津「菊の栄」、「大阪めぐり」、「朝顔売り」、大和楽「花洛道成寺」、荻江「金谷丹前」、義太夫「万歳」、「道行旅路の嫁入」、文楽「大蛇」、「さるかに合戦」と云った辺りだ
観にいらして下さる方にも是非、楽しんで行って貰いたい
さて、そろそろ出発して、開演の準備をしなくては
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明日は祖父の命日だが、今日の日記の眼目はそこではない
お祖父さん、済まない
では、早速、話を始めよう
先月、早い所では先々月末位から今年もまた「冷やし中華始め」た中華料理屋が続々と出現している訳だが
僕から言わして貰うと「冷やし中華始め」る必要が無い
そう書くと、まるで僕が冷やし中華が嫌いみたいな話になって来るんだけれど、そうではない
どちらかと言うと好きだ
いや、どちらかと言わなくても大好きだ
だから、逆に秋口になり「終わる」事が許せないのである
わざわざ「冷やし中華始め」なくても終わらせずに年柄年中、やってりゃいいじゃないか、と云うのが僕の持論
飲み屋等でこの持論を展開すると、僕以外にも冷やし中華好きは結構な数存在するらしく、案外、同調される事もまま多いんだけど
さて、皆さんは如何お考えかな
ちなみに僕は冷やし中華好きと言っても、具にそれ程は煩く拘らないが、味付けはオーソドックスな酢醤油ヴァージョンの奴しか眼中に無い
胡麻だれのも五十回に一回位ならば認めよう
しかし、酢醤油のたれが濁る程にマヨネーズを掛ける輩は断じて認めない
論外である
マヨネーズが美味しい調味料であり、使い様に因っては大活躍する事も知っている
でも、世間一般にマヨラーと呼ばれる者達みたいに、何でもかんでもマヨネーズを付ける、掛けるのは味音痴だと断言する
だって、幾ら美味くたってマヨネーズって掛け過ぎるとマヨネーズの味しかしなくなるんだもの
従って、娘と息子には僕の前ではなるべくマヨネーズは使わせない様にしている
もし、使ってるのを見た時は「味音痴になるよ」と云う嫌味は欠かさない
大事な事だからもう一度、書いておく
“マヨネーズはそれ自体の味が濃いから、乱用するとその味しか美味しいと感じない味音痴になる”
マヨネーズを全否定はしないけれども、あれはたまにでいいんじゃないか
或る意味、合法ドラッグの一つと言える程の中毒者の数だからね
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皆さんが御存知かどうかは知らないが、僕はちょっとだけ酒を窘む
それはもう、舐める程度の事だが、少し窘む
何かを酒のつまみにしながら飲む事も多い
中でもビーフジャーキーと云う奴、なかなかにいいね
いい酒のつまみになる
あれはいい物だ
今まで色々なビーフジャーキーをつまんで来たが、僕が一番美味いと思ったのは、オーソドックスだがやっぱり、TENGUと云うメーカーのビーフジャーキー
あれが、どの酒にもしっくりと馴染む様な気がしてならないんだよな
プレーンなのもいいし、ペッパーのも美味い
他にも何か、美味いビーフジャーキーや、皆さんがお勧めのつまみって有るのかな
「これは」と云う品は是非、教えて貰いたい物だ
辛いのとか、塩っぱいのがいい
甘いのは却下
それから、北海道の鮭とばや広島のせんじがらなんか、後は松前漬とかも美味いよね
さて、話は変わるが、今日は歌舞伎座の六月大歌舞伎、先輩方の「新薄雪物語」を勉強しに行っていた
自分の仕事と稽古が終わってからだったから、昼の部の途中の「詮議」からだったんだけどね
で、明日は母の誕生日
そして、午前八時から今季二度目の人間ドックだ
胃カメラやエコー、MRI等々をやる予定
その為に一昨晩の夜中から、絶賛絶食中
別に二日も開けなくてもいいんだけど、普段の不摂生してる分だけ、それ位体内を空けといた方が、カメラ写りや超音波写りがいい気がしてね
明日の晩まで固形物を身体の中に入れないのに、食い物の日記なんか書いてたら何だか悲しくなって来た
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そんな訳だから、今更、遅いし都合良過ぎな自分勝手なんだよね
虫のいい基本的観測だよ
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例えるならば、登山家の美学の話
「一つの山を踏破したら、次に狙うはもっと高い山を」
その気持ちは当たり前だろうし、良く分かる
だが、日本なら「高尾山を駒ヶ岳の踏み台に、その駒ヶ岳は富士山への踏み台の為」に、ただ登るだけ
世界で言うなら「マナスルに登る為だけにマッターホルン、マナスルさえもエベレストの腕試しだけの為」に、取り敢えずやってみるって考えの奴が大嫌いだ
より高い山を目指すのは結構だ
しかし、高尾山、駒ヶ岳にはそれぞれの良さ
マッターホルン、マナスルにも当然、各々の魅力が有る
同じロケーションは無い訳だし、険しければ偉いって物でもない
低くても難しい山も在るし、逆も在る
一つ一つの山を丁寧にやって、得る物を得ないと遠からず遭難する
敢えて「富士山、エベレストを目指さずに、如何に高尾山、駒ヶ岳、マッターホルン、マナスルを美しく極める」か等とは一切、考えずに、高みから下を見下ろしたい自己満足の為だけに高尾山、駒ヶ岳、マッターホルン、マナスルに全く敬意を表さずに、まさに、ただ“登り散らかすだけ”に利用する
そんな下卑た輩を僕は絶対に認めないし、許さない
人間とすら思わない
金輪際、もう二度と一緒に仕事なんかしたくない
僕が言いたい事、伝えたい事、分からないだろう
分からなくて全然、構わないよ
自分の強い考えをただひたすら、書き殴り、垂れ流しているだけだから
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そう言った訳で、先月末から今月に掛けては日本舞踊家、藤間勘右衞門として、今月の二十六、二十七日に歌舞伎座にて催される藤間流大会の稽古に取り組んでいる
僕は先ず、二十六日の昼の最後に清元「鳥羽絵」の下男升六
鼠を演じるのは息子である
「鳥羽絵」を選んだ理由の一つは、去年の十月にも日記に書いた清元志佐雄太夫さんの追悼の意味も込めて
藤間勘慶朗と云う舞踊家としても、また、清元の太夫としても僕にとって、藤間流にとって必要な師匠だった志佐雄太夫さんへの弔意を込めて踊らせて貰う
今、僕が清元を踊る時は大体、清元清寿太夫さん、清元美寿太夫さんの立浄瑠璃
志佐雄太夫さんの生前は、御三人に引き受けて貰っていた
立三味線は清元美治郎さんか清元菊輔さんなのだが
今回は僕の気持ちと無茶振りを清元の先生方に汲んで頂き、この踊りだけは清寿太夫さんの立浄瑠璃で、志佐雄太夫さんの男の弟子の中で今、一番古株の清元雄二朗さんに立三味線をお願いした
雄二朗さんの成長を促す為に、快く頷いて下さった清元の先生方に感謝
また、友人でもある雄二朗さんには、この舞踊会が歌舞伎座での藤間流大会だと云う事も良く胆に据えて、先輩方の志を忘れず、これからの試金石だと思って弾いて貰いたいと思う
ちなみに、個人的な事だけれど、歌舞伎では一緒に舞台に上がる事も多い息子だが、日本舞踊の会で共演するのは実は初めて
続いては、二十六日の夜の部の最後に清元「鳥刺」
これまた、今年の四月末に亡くなられた藤間蘭景先生と、その御母堂の藤間藤子先生に厳しく仕込まれた思い出深い踊りだ
芸の上の祖母、母と呼んでも過言ではない御二人に叱られない様に勤めたい
二十七日の昼の部の最後には長唄「楠公」
実は、前回の藤間流大会でも踊った
最近、プライヴェートでも良く御一緒させて頂く芳村伊四郎さんに「これをいつか演ろう」と言って頂き、その言葉が残っていたので再演を決断したのだ
勿論、立唄は伊四郎さん、立三味線は今藤巳太郎さん
ずっと、一人立ちの素踊りで何度も勤めて来たこの踊り
今回は藤間勢三先生と相談して少し振りを変え、僕が楠木判官正成と足利左馬頭直義を、娘が正成の息子、楠木正行を演じる
娘とは正真正銘、初めて一緒の舞台
娘は今から恐れ慄いているけれど、こっちの方が緊張するっての
最後は二十七日の夜の最後に「達陀」
青衣の女人に吾妻徳穂宗家、堂童子に坂東亀寿さんに出演して頂き、歌舞伎の方からも名題下の皆の力を借りて、藤間流の男性舞踊家達と上演する
今年は祖父の二十七回忌
歌舞伎座が新築されてから「達陀」はまだ歌舞伎の興行には掛かっていない
祖父を偲ぶ意味も込めて、この「達陀」は先ずは歌舞伎の前に藤間流として新しい歌舞伎座で踊りたかったのだ
ざっと簡単に紹介したこの四番を今回は手掛ける
何だか、或る意味で僕にとっては様々な追善の舞踊会になるな
他にも、二日目の昼の「正札附根元草摺」は、娘の小林妹舞鶴で息子の曽我五郎時致だし、まだまだ、藤間流の立派な先生方や門弟達が色々な踊りを披露する
一つ一つ挙げてはいられないが、どれもこれも観応えが有る筈なので、おいで下さる予定のお客さんには是非、楽しみにしていて貰いたいと思う
最後に、この舞踊会にも協力してくれる予定だった、友人の今藤長龍郎さん
タクシーが不注意から起こした事故で足を骨折してしまい、出演が叶わなくなってしまった
もう退院して後遺症も無いみたいなので一先ずは安心したが、兎に角は御大事にして、一刻も早い完全復活を願っている

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