今日、歌舞伎座の六月大歌舞伎の初日が開いた
夜の部では「巷談宵宮雨」で、虎鰒の太十と云う役を演じている
初役
我が家には全く縁の無かった芝居な所為も有ってか、割と今までに演って来なかったタイプの役かも知れない
近代では中村吉右衛門の叔父さん、中村勘三郎の兄さんと云う、達人の先輩御二人がそれぞれ、色の違う素晴らしい太十をなさっているので、その同じ役をさせて貰う有難さと同時に、恐ろしさとプレッシャーも並大抵ではない
先々月、「西郷と勝」で演じた西郷吉之助の“覚える”、“説得力を持った一人語り”とはまた違う、“会話のキャッチボール”、“土着の匂い”と云う味の手強さ
なかなかに難しく、稽古中から今日の初日まで、龍達役の中村芝翫の兄さん、おいち役の中村雀右衛門の兄さんと相談しながら、また、アドヴァイスも頂きつつ、色々と試行錯誤を重ねている
まだまだ、修正部分は山程有る
でも、前回、二十数年前に、勘三郎の兄さんの太十に、中村富十郎の小父さんの龍達、中村福助の兄さんのおいちで出した「巷談宵宮雨」の時に出演していて、稽古中から今日まで、ずっと舞台袖から見て助言をしてくれている中村芝のぶさんが「大丈夫、貴方は出て来て太十の柄なんだから、楽しんで、自信を持って演って」と、励ましと誉め言葉をくれたのは何よりの味方だ
芝のぶさんとは先月の「鬼一法眼三略巻」でも一緒に出ていて、今までも気が付いた事は何でも言ってくれる
僕も彼に良く尋ねるし、彼も僕を気に掛けてくれて、一つの安心に繋がる
また、観てくれたお客さんからも帰り際に「面白かった」と云う感想を直に貰えたのが収穫だ
嬉しかった
そう言えば、息子も初めて観たこの芝居を「楽しかった」と言っていたな
それを信じて、また明日、明後日と
一日に一歩ずつでも、お客さんが観てより一層「面白い」と思ってくれる様に、色々と悩んで考えなければ
先ずはもう一度、頭の中を整理する所から始めようか
そして、今月は朝から晩まで歌舞伎座に拘束時間が十二時間近いと云う事も判明
移動時間を考えてみると、自宅には十一時間居るか居ないか
十一時間と云えば、ちょっと酒を飲んでいたら直ぐに過ぎてしまう程度の時間
あっと言う間だ